新型がでるぞ!と噂になっていたスペシャライズドのAethosくん。モデルネームに「2」のナンバリングがふられて10月3日に発売されました。
- 油圧ホースのフル内装化
- UDH(ユニバーサルディレイラーハンガー)の採用
- 使用できるタイヤサイズの拡大
ざっくりとした変更点は、大方の予想どおり。
しかし、ジオメトリがエンデュランス寄りに大きく変わったのは完全に予想外。Roubaixの客層とカニバらないのかが気になります。
まぁ…スペシャライズドはマーケティングが巧みな会社。
需要が限られる純ロードバイクのカテゴリーに新製品を投入するよりも、エンデュランスやグラベルに対応できるモデルを増やした方がマーケットの反応がより大きいとふんでいるのでしょう。知らんけど。
初代Aethosの54サイズに乗っている当ブログ管理人のRockman。
新型エートスのジオメトリを見ると、スタックが高すぎて今のポジションを再現するのがちょっと難しいと感じています。(同じ54サイズで)
オフセットステムを使えば、ハンドルの取りつけ位置を低くすることは可能です。しかし、これではステム一体型のカーボンハンドルを使うことができません。
何年か先の未来で買い替えを検討する際は、おそらくひとつ下の52サイズを選択すると思います。
というわけで今回のブログは、一部の自転車マニアが待っていたAethos 2について。
自分の身長がフレームサイズの境界にある人(例:52でも54でも乗れる人)はサイズをひとつ下げた方がよさそうだなと思った理由。
そして、スペシャライズド福島様にてチェックしてきたS-WORKS仕様とEXPERT仕様の比較について書いみようと思います。

インプレは「エートス2・ライドツアー」に参加してから書きますぜ!少々お待ちくだされ。
新型Aethos 2の比較とジオメトリを読み解いてみよう
Break The Rules. すべては走る楽しみのために。
初代Aethosから続くキャッチコピーをそのまま引き継いだ今回の新作。エートス第二章ともいえる正常進化版でございますな。
レースをターゲットにしない「純粋なライドの楽しみ」という独自の立ち位置により、玄人をうならせる唯一無二の存在となったこのバイク。
フレーム重量は、56サイズで595g。初代よりも10gほど増えましたが、世界最軽量という謳い文句は健在です。
新型は、ヘッドチューブのサイズを縦横ともに拡大。35Cまでのタイヤサイズに対応。エアロを意識したフォークブレードに変更などなど…。
これらアップデートを行いながら、フレーム重量を前作比で10gアップにおさめたのは賞賛にあたいします。
まさに「軽さ」というテーマを追求したエンジニアの執念でございましょう。
前作AethosとTarmac SL8の開発に大きく貢献したピーター・デンク氏はすでにスペシャライズドを去った模様。Aethos 2の開発には参加していません。
しかしながら、彼と共に開発に従事したエンジニアリーダーのセバスチャン・サーベット氏がデンクDNAを引き継ぎ、エートスをブラッシュアップ。よりモダンなロードバイクに仕上げました。
だからと言って、ヘッドチューブを15mmものばすのは、正直どうなんですかねぇ…。
Retül Fit(リトゥールフィット)から得られたデータのフィートバックという理由でしたが、エートス乗りの皆さんは、そんなにコラムスペーサーを積んでますん!?
旧型の54サイズをステムベタ付けで乗っている者としては、新型はハンドルが高すぎて吊るしの状態では乗れません。

ジオメトリの数字が持つ意味がよくわからん人はこちらもどうぞ。特にフロント部分の数値はハンドリングに直結する重要な値が多いよ。ヘッド角とフォークオフセット、トレール値の意味は理解しておいた方が吉。その方がこの趣味をより楽しめるからね♪

初代 Aethos 1とAethos 2のジオメトリ
初代 Aethosは、Tarmac SL7のジオメトリをベースに作られました。
- ヘッド角
- フォークオフセット
- トレール値
二輪のハンドリングに大きな影響をあたえる、これら数値はすべてターマックと共通。
ついでに、「BBハイト」「BBドロップ」「シート角」も共通です。
異なる点は、ヘッド部分とフォークが主。
ヘッドチューブは6mm〜7mmのび、フロントフォークは全サイズで3mmほど延長。それによって、スタックは10mm、リーチは3mmほど長くなりました。
初代Aethosは、レーシング系バイクのジオメトリに極めて近いつくりでありながら、ホビーライダーに配慮したポジションがとれる稀有な存在。
日常のライドで使いやすい性能。そして、本気で走りたい時はしっかり応えてくれる懐の深さ。これがエートスの走りの魅力であります。
そういった部分がエンデュランス寄りのジオメトリーになったことで薄らいではいないか?個人的にとても気になっています。

フレームを52に落としたら、今よりいい走りをしてくれる可能性はある。試乗会が今から楽しみじゃわ。
Aethos 2のジオメトリ
新型エートスで見逃せないポイントが先に述べたとおり、ジオメトリの変更でございます。
具体的には…
- 54以上のサイズでスタックが15mmアップ(49サイズは8mm、52サイズは11mm)
- BBドロップが最大で3mm下がった
- ヘッド角は最大で0.5°ほど寝かせた
- ホイールベースは最大で14mm拡大した
この変更により、旧型よりもよりアップライトなポジションで乗れること。車体の安定性を向上させたことが読みとれます。

BBドロップ・ヘッド角・ホイールベースの変更点は全て安定性向上に影響するポイント。ヘッド角が0.5°寝る形になったけれど、フォークオフセットを前作よりも大きくしてトレール値は調整してあるね。ハンドリングはだるくならなそう。
スタックの大きさをどうするか?
Aethos 2で問題となるのがハンドルの高さ。サイズ別で新型と旧型のスタックを比較するとこんな感じになります。
スタックのデータをこのように可視化してみると、ワタクシのように新型でポジションを出せない人は結構いるように思えます。
では、初代Aethosをステムベタ付けで乗っているサイクリストはどうすればいいのでしょうか?
そのこたえは2つ。
- フレームサイズを1つ落としてコラムスペーサーで調整する
- 54サイズのフレームにスージーステムをつけてハンドルを下げる
最も簡単なのが、「1」のフレームサイズを落とす選択。
54サイズのAethos 2はスタックが559mmという、ちょっと身構える数値。今よりも15mmハンドルがアップライトになるのは、慣れでは解決できないと思います。
おそらく、Madone SL5(gen.8)の試乗車に乗った時と同じくらい気持ちわるいポジションを強いられるはずです。

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それなら、フレームサイズを一つ下げて52サイズにしてはどうか?
こちらはスタックが538mm。今乗っているAethosよりも6mmほどハンドルを下げられます。
5mmのスペーサーを一枚入れるだけで、今とほぼ変わらないハンドル高がえられますぞ!新型にするなら、もうこれでいいじゃん(笑)
ただ、そうするとリーチが7mmも短くなります。ここは、ステムのサイズを延長して110mmに変更したくなりそうです。
PROグレードには一体型のカーボンハンドルが付属するのですが、52サイズはステム長が90mm。ガッデム!長さが足りねぇ!!
適正サイズのRoval Alpinist Cockpit IIを買って、完成車に付属してきたカーボンハンドルはフリマアプリで売却する。PROグレードを買うなら、これが良さそうです。

ヘッド角が0.5°寝てくれたおかげで、新型は52サイズでもフロントセンターが旧型の54サイズよりも5mm長い。そして、ホイールベースも3mm長い。フレームサイズを下げるデメリットはなさそうだね。
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では、今と同じ54サイズをチョイス。ワンバイエスのスージーステムでハンドルを下げる方法はどうでしょうか?
スージーステムはちょっと特殊なステムで、オフセットがあることで有名です。
図を見ると、ステム胴部分の中心線よりも、ハンドルクランプ部分の中心が下がっていることが分かります。胴部分の中心線とハンドルクランプ部分の中心線は一致することが一般的ですが、オフセットさせることでハンドル高を下げられるわけですね。
さらに、一般的なステム角度が6°なのに対し、スージーステムは13°。差引7°分だけハンドルを下げることができます。コラムハイトも35mmと一般的なものよりも5mm低いため、これら要素もハンドルを下げることに貢献します。
このステムを使えば、だいたい20mmちょっとハンドルが下がるので、選択肢の一つとしてはありでしょう。
しかし、これを使うと軽くて強靭な一体型のカーボンハンドルは使えません。
PROグレードを買ったら、せっかくついてきたRoval Alpinist Cockpit IIを売却しなければならなくなります。これはもったいない。
もし、このステムを使うならExpertグレードにしてハンドルだけカーボンにした方がよさそうです。

新型で54サイズを選んでしまうと、サドルとハンドルの落差が出せないね。見た目的にカッコ悪い姿になりそうなのは否めない…。
BBドロップが下がった理由
モダンなロードバイクのBBドロップが下がる傾向にあるのは、おそらく太タイヤ化の影響だと思われます。
10年前に標準的だった700×23Cのタイヤから現代仕様の700×28Cのタイヤに変更するとBBは6mm高くなります。
これがAethos 2の最大タイヤサイズ(700×35C)になると、差は拡大して11mmも高くなります。
ホイールやタイヤの設計によって半径は変わってきますが、54サイズでBBドロップが75mmという数値は理にかなっているのでしょう。

ちなみに、2010年代のリムブレーキ仕様では、BBドロップが67〜72mmという値だったね。Tarmac SL3は54サイズで69mmだったよ。
BBハイトは旧型よりも1mmていど低くなっています。まぁ…このくらいなら何も気にする必要はないでしょう。
Aethos 2は、ホイールベースがのびて安定性も向上した模様。35Cのタイヤをはいてフラットダートを走ってみたら、新たな楽しみ方にハマりそうな予感がします。

ペダルをこぎながらコーナリングをしたり斜面を駆けるシクロクロスのような乗り方をしなければ、グラベルでもペダルをヒットすることはないだろうね。
Aethos 2 S-WORKSとExpertの比較
54以上のサイズだと、ヘッドチューブが15mmも長くなる影響で、古典的なダイヤモンドフレームの見た目(バランス)が狂いそうです。しかし、その影響が少ない49と52サイズはまったく違和感がありません。
まんま、見慣れたエートスです。うん…このシンプルさは新型になっても健在。良いぞ!
S-WORKSとPRO仕様は、一体型のカーボンハンドル「Roval Alpinist Cockpit II」をはじめから装備。Expertは、アルミステムにアルミのハンドル。
Expertグレードは最低でもカーボンハンドルに交換したいところ。ハンドルまわりの軽さは操舵感の軽さに直結するし、不快な振動も減衰してくれます。
ある意味、カーボンホイールよりも優先して交換したい部分ですな。
サドルはS-WORKSが3Dプリンタの「S-Works Power with Mirror」。
Expertが「Body Geometry Power Expert」。
お互いの重量差は40〜50gほど。座り心地はレベチでMirrorサドルの方がいいです。
5万5,000円とお高いんですが、ワタクシのAethosもゆくゆくは3Dプリンタものにしていきたいですな。
上位グレードのS-WORKSには話題のホイール「Roval Alpinist CLX III」。
カーボンスポークの採用で前後セット1,131gという驚異的な軽さです。
この軽さは、試乗会で堪能させてもらいましょう♪
タイヤはS-Works Turbo TLR。はじめからチューブレス仕様ですな。
一方のExpertは、お馴染みのC38ホイールにタイヤはS-Works Turbo。初代AethosのExpertグレードと変わらない装備です。
まとめ
時間の都合がつかなくて、新型エートスを見せてもらった時は試乗ができませんでした。お楽しみは18〜19日のエートス2・ライドツアーまでおあずけです。
パッと見、フル内装になったこと以外に変化がなさそうに見えます。しかし、じっくり観察するとスモールパーツも徹底的にこだわって軽量化を施しているのがわかりました。
やぐらを肉抜きしたり、ブレーキマウント台座も軽くするために新しくなりました。たった2グラム削るために、わざわざ特注のUDH(ユニバーサルディレイラーハンガー)を作ったのは狂気すら感じます(笑)
個人的に嫌いじゃないぜ!こんなプロダクツは。
かつては、1代限りで終わりかと噂されていたエートス。次のモデルにつながって本当によかったと思っています。
すぐにAethos 2を購入することはないと思いますが、ワタクシが将来的に乗る可能性は低くありません。
今後もこのモデルに注目していきたいと思います。
━ つづく ━
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