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【試乗レビュー】トレック マドン SLとSLRを乗り比べたら140万円の借金を背負いそうな件

ロードバイク

田舎住まいのワタクシにも、ようやく新型マドンに試乗する機会がめぐってまいりました。
今回乗れたのは、お求めやすいエントリーグレードのSL 5。そして、高嶺たかねの花であるSLR 7。

結論から申し上げると、140万円のSLR 7がとても素晴らしかった。欲しくて欲しくてたまらん!と思うほどに。

唯一の問題は、お値段が高すぎる点。

コンマ1秒を争う競技ガチ勢ではないワタクシが140万円のロードバイクを欲しがる。
これぞまさに狂気。常軌を逸した精神状態だと自分でも思います(笑)

でも、欲しくなるという感情自体は仕方のないこと。

買える買えないは別として、現時点で乗って一番気持ちよかったバイクがマドン SLRだった。ただ、それだけのことです。

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マドン SLシリーズはSLRに準じたパーツでカスタムせよ!?


参考:サトーサイクル

試乗会は郡山市の老舗サイクルショップ、サトーサイクルさんでおこなわれました。

この日は、台風10号が日本列島を縦断している最中。
悪天候でイベントは中止か?とも思われましたが、我が郡山市は日中だけ雨がやむというミラクルに。

おそらくワタクシの強運のおかげでしょう。知らんけど。

試乗コースは基本的に自由。

ただ、台風による路面コンディションの悪化と時間的な制約で峠には行けず。のぼりと下りの挙動を確かめることができませんでした。

ゆえに、エントリーの内容は平地メインのインプレになります。

乗せていただいたモデルはMadone SL 5。
そして、SLシリーズよりも車体が軽く強靭きょうじんになった上位モデルのSLR 7。サイズはともに「M」

身長166〜177cmのサイクリストに適合しています。(当ブログ管理人の身長は173cm)

グレード共通で感じたポイントは下のとおり。

共通ポイント
    • 乗り心地がとてもよいこと
    • パワーをしっかり受けとめて、スムーズな加速力に変換してくれる優れたフレームであること

以上の2点でございます。

本モデルのトピックのひとつでもある空力性能はどうかというと、「フルシステム・フォイル」の効果を体感することができました。

ただし、これはマドン SLRのパーツ構成によって完成する部分。
素のSL 5は空力的に未完成なため、SLRで感じた高速巡行のしやすさは感じられませんでした。

試乗の目的はSL 5のチェックだったが…

今回の目的はあくまで購入検討中のSL 5の味み。SLRに乗るつもりは全くありませんでした。

なぜなら、SLRは雲の上の存在だから。

ふつうに考えて、最低価格140万円〜の自転車はモノの価値として払える額ではありません。

しかし、「SLRにもぜひ乗ってみてください。お客さまのために作ったバイクですから!」というトレック営業さんの強いすすめにのる形で試してみると…

『うん…これはオレのためのバイクだな』

アホな感想をいだくほどに、SLRが体にすぅぅぅ〜っとなじみます。これには困った。

最上級のものを知ったが故の葛藤。

買うのかい?買わないのかい?どっちなんだい??脳内に住む、なかやまきんに君がささやきます。

かいまぁ〜〜〜〜〜〜〜す。100年ローンで(白目)

こんな無駄なやりとりを軽く1,000回は繰り返す始末。

とはいえ、SLRを知ったこと自体に後悔はありません。

なぜなら、SL 5とSLR 7に両方乗ったことで、マドンSLのカスタマイズの方向性が見えたから。

断然、SLRの仕様を模倣すべきです!

 


↑↑車体全体で空気抵抗を減らすフルシステム・フォイル

SLRにはじめから備わっている「フルシステム・フォイル」という空力システム。これがGen 8 マドンの到達点。

軽量エアロフレームにステム一体型のフレアハンドル。
51mmハイトのカーボンホイールにRSL エアロボトルと専用ケージを採用して、Gen 8のマドンはゴールデンフリーザ状態になるのです。


↑↑くっそ取りにくいと評判のRSLエアロボトル

ただし、SL 5をフルシステムフォイル化するにはそれなりの費用が必要。

もし予算に余裕があれば、SLR 7のパーツ構成にきわめて近いSL 7(SLの最上級モデル)を強くおすすめします。その方が結果的に安くすみますので。(95万円)

悩ましいのがカラーですね。

フレーム性能としてはSLグレードでも十分だと思いましたが、SLRに採用されている色はいっさい選べません。


↑↑カーボンレッドスモークのかっこいいやつ

試乗車のカーボン レッド スモークに惚れてしまったワタクシには、SLR 7を選ぶかSLのフレームを塗る以外の選択肢がない。

これは悩ましい問題です。

Rockman
Rockman

塗装しちゃうとTrekの保障が適用されなくなるんだよね…

Madone SL 5実走レビュー

試乗会で最初に指名したのが大本命のSL 5。

マドンという金看板をぶら下げながら、お値段44万9,000円という戦略的な価格設定がうれしいモデルです。

こいつは、トレックの良心といえる存在。

マドンがエモンダを吸収したことで、エントリー層の受け皿を用意せざるを得なくなった事情が透けてみえますね。マドンにしては安すぎます。(こう思う時点で自転車脳w)

円安の昨今、アメリカ本社と交渉してこの価格を実現してくれたトレックジャパンの方々には本当に頭が下がる思いです。

Rockman
Rockman

SL 5はレート換算で1ドル117円に相当するよ

SL 5のスペック

フレーム:500シリーズ OCLVカーボンフレーム

コンポ:機械式変速12s R7100

ハンドル:ボントレガー COMP(アルミ製フレア形状の丸ハンドル)

ステム:ボントレガー RCS Pro(アルミ製ステム)

ホイール:Paradigm SL(前後1,840g)

タイヤ:ボントレガーR1(1本360g)

重量:MLサイズで8.7kg

SL 5の気になった点

はっきり言って、乗りはじめの印象はあまり良くありませんでした。

その理由は3つ

Badポイント
  • 試乗車のハンドル位置があまりにも高すぎた
  • タイヤとホイールが重いせいでゼロ発進がもっさりする
  • 重たいSTI(デュアルコントロールレバー)の影響で低速域でのハンドリングが悪い

フレームの問題ではなく、試乗車のセッティングとパーツアッセンブルの影響による問題でございますな。

まずハンドル高の件について。

試乗したMサイズのヘッドチューブ長は136mm。現在ワタクシが乗っているキメラのヘッドチューブ長が110mm。

キメラより26mmもヘッドチューブが長いのにこれだけスペーサー(ヘッドカバー)をマシマシにされたら、違和感しか感じないポジションになります。

いちおう、サドル高だけはRockmanのポジションに合わせてもらったので乗れなくはないです。全然しっくりこないけど。

このセッティングだと上体が起きあがってしまい、ロードバイク特有の前傾姿勢をとることができません。

ペダルにパワーをうまく乗せることができないため、シッティングでの反応がイマイチ。乗っていて気持ちよくありませんでした。

エントリーグレードの試乗車という位置づけ上、アップライトなポジションは仕方のないこと。それは理解はできます。

だが、自分のポジションに合わせて乗ってみたかった!

もしもこれを読んでいる方で試乗車に乗る機会があれば、ハンドル高を自分好みのセッティングに変更できるかお店に確認してみることをおすすめします。

合わないポジションだと自転車の印象がすこぶる悪くなりますので。



次は、ゼロ発進と低速域でのもっさり感について。

この原因は、足まわりとSTI(レバー)の重量に起因するものと推測されます。

ホイールは前後重量1,840gのParadigm SL。タイヤはワイヤービードのボントレガーR1で1本あたり360gもあります。これは下位グレードならではの構成ですね。

初期装備のホイールとしてParadigm SLは納得のいくレベル。鉄下駄と揶揄やゆするほどではありません。ただし、このタイヤだけはダメです。買ったら即・交換すると思います。

スタート直後から、路面との抵抗をモロに感じるゴォォォォという微振動が手につたわってきました。

デフォルトのタイヤを上位グレードで採用されているピレリ P ZERO RACE 28C(225g)にすれば、1本あたり135gの軽量化が可能。これにTPUチューブを組み合わせるだけでかなりの軽量化になるはずです。

SL 5を購入したら、タイヤのアップグレードは真っ先に手をつけるべきでしょう。

前後タイヤとチューブでトータル270g以上も軽量化できれば、ゼロ発進時のもっさり感とタイヤの抵抗感はかなり改善されると思います。

 

あと、STI(レバー)が重たいのも気になります。

低速時のハンドリングのキレがよくありません。機械式 R7100の変速性能がとても素晴らしいだけに、このSTIをもっと軽量化できないものか?と残念な気持ちになるポイントです。

SL 5の良い点

Goodポイント
  • 乗り心地がすばらしい
  • パワーをしっかり受け止めてくれるフレームの剛性感

SL 5に乗って真っ先に感じた良い点が乗り心地のすばらしさ。
リヤサスがついているのか?と思うほどにサドルからの振動がつたわりません。

とうぜん、28Cというエアボリュームからくる部分も大きいのでしょう。

しかし、それだけでは説明がつかないほどに路面からの衝撃を吸収してくれます。

Rockman
Rockman

28Cタイヤのビアンキ製クロスバイクも所有しているけど、マドンほど乗り心地はよくないよ

 

Trekご自慢の新型IsoFlowは、縦方向のしなりを80%も向上(当社比で2倍のしなり)させたとか。

このシートチューブのしなりが振動吸収に対して良い仕事をしているのは間違いなさそうです。

痔主のワタクシにとって、この乗り心地は天国。お尻の救世主であります。なにせ、いつもキメラから土木工事のランマーで尻をしばかれる感覚を味わっていますからね(笑)


↑↑地固め用のランマーくん



あと、乗り心地がいいのに踏み込んだ時の反応もいいです。

試乗車のハンドル高すぎ問題でペダルにパワーをかけずらい状況ではあったものの、スプリントのようにおもいっきりペダルを踏み込むシチュエーションでは踏み込んだトルクの分だけ推進力が得られる感覚をおぼえました。

 

旧世代のガチガチにかたいリムブレーキ車に乗っている身からすると、これぞ隔世の感。

機材の進歩に目から鱗がぽろぽろでございます。

Madone SLR 7実走レビュー

次なるモデルは、試乗するつもりがなかった上位存在のSLR 7。140万円という価格は、マドンと同じ重さの銀よりはるかにお高いです。

これは希少金属ですか?芸術作品ですか??

いえ、スポーツ用品です。

壊したら140万円の負債を負う緊張感でココロがドキドキわくわくします♪

SLR 7のスペック

フレーム:900シリーズ OCLVカーボンフレーム

コンポ:電動12sコンポR8170

ハンドル&ステム:Trek Aero RSL Roadインテグレーテッド ハンドルバー

ホイール:Bontrager Aeolus Pro 51(前後1,590g)

タイヤ: ピレリP ZERO RACE

重量:MLサイズで7.31kg

SLR 7に乗ってみて

まず、試乗車を受け取った時に手からつたわる車体の軽さに驚きました。

SL 5よりも1.4kg軽いだけなのに、数値よりも軽く感じるのはなぜでしょうか?よくわかりません。

ちなみに、こちらのモデルはハンドル位置が試乗車のSL 5よりも低くセッティングされていたため、違和感なく乗りはじめることができました。

Rockman
Rockman

贅沢をいえば、もっとハンドルを下げたいけどね

乗り心地

フレームの剛性はとうぜんSLシリーズよりも上。

パワーを入力した時の反応が早いです。なのに、下位モデルよりも乗り心地がよく感じました。

理由としては、ステム一体型カーボンハンドルによるフロント部分の振動抑制。

エアボリュームの大きい28C高性能チューブレスタイヤの採用という2点が大きいと思われます。

ちょっと荒れた農道を走ってみても、車体が全然はじかれません。
なので、普段ならペダルのトルクを抜くようなシチュエーションでも躊躇ちゅうちょなく踏みつづけることができました。

これは速く走るにはうってつけの特性です。

反応性

いわずもがな、SLRの反応性はとてもいいです。
踏み込んだパワーを余すことなく推進力に変換してくれるような効率の良さを感じました。

ただ、10年前のロードバイクのようにガチガチではありません。踏みまくると脚がすぐに売り切れそう…という感覚がまったくない。

反応がいいのにしなやかなんです。なんだこれ??

これはワタクシの現愛車、KOGA KIMERAとは真逆のフレーム特性。感動すらおぼえます(笑)

SNSの「X」でMadone SLRのレビューを見ると「かたくて自分にはムリ」という感想をよく見かけますが、古兵ふるつわものには当てはまりません。

ひと昔前のフラグシップモデル(リムブレーキモデル)にお乗りの方なら余裕で乗れます。

我々のケツは鍛えられていますからねw

ハンドリング

SLRは、安定性と俊敏性をかねそなえた絶妙なハンドリング。

これも素晴らしい。乗っていて不安感がなく気持ちいいです。

最初に乗ったマドンSL 5では、23mmハイトのアルミホイールにワイヤービードの28Cタイヤという構成がフレームとの一体感に欠けていると思いました。

一方のSLRでは、51mmハイトのカーボンホイールとフレームの相性がとてもいい。

空力特性の優れたフレーム。そして、横風の影響を受けにくく、なんなら風を推進力にかえるホイール(セーリング効果)が合わさるとどうなるか?

それすなわち、「1+1は2じゃないぞ。オレたちは1+1で200だ!10倍だぞ10倍」という迷言が頭をよぎりました。

あと、フロントフォークがワンピース構造になり剛性が高まりつつも軽量化したこと。フレーム自体の振動吸収効果もハンドリングの味つけに効いていそうです。

エアロ性能

高速巡行モードになると、エアロのありがたみがよく分かります。

SLRは、速度の維持がものすごく楽。

いつも必死こいて維持している速度域でも辛くありません。

誰だよ…空気抵抗の7割は人間だからバイクのエアロ化はそれほど意味がないとか言ったやつは。めちゃくちゃ効果あるやないかい!

フレームやホイールだけではなく、空気抵抗の低減に影響がありそうなステム一体型のフレアハンドルも実にいい。

脇をしめたコンパクトな乗車姿勢が自然にとれて、「これだよ!これ!!」と思うほどにばっちりとハマりました。

SLグレードを購入したら、このカーボンハンドルをはじめから取りつけたいです。高いけど…

まぁ…電動変速油圧ディスクブレーキ以外でこの一体型ハンドルが使えるかどうかは分かりませんけどね。

余談ですが、試乗帰りに愛車(KIMERA)に乗ったところ、400mmのハンドル幅が広すぎて違和感バリバリ。

最新モデルに乗ったことで、ワタクシの脳と体がアップデートされたようです。

見た目

最高のひとこと。

唯一無二の個性、IsoFlowの穴も機能美でかっこいい。

フレームの陰影がきわだつ塗装にしびれます。

試乗車のカーボンレッドスモークには、あでやかさすら感じました。

やはりこのフレームには、ディープリムがよく似合いますね。ヒルクライムをやるにしろ、ローハイトのホイールは履きたくありません。

現実的選択はSLシリーズ

おったまげるほどにSLRが良かったです。

買えるなら買いたいですが、140万円の自転車を買えるサイクリストは一体どれだけいるのでしょうか…。あまりにも高すぎます。

同じ乗り物趣味としてクルマやオートバイは、この金額のものもザラにあります。
では、なぜ自転車だと買えないのか?それは中古としての価値が担保されていないから。

ロードバイクは買った瞬間から二束三文になる商品。使いつぶす金額として許容できるのは、50万円前後がいいところというのがワタクシの感覚です。

であるなら、SL 5が許容できるギリギリのライン。

年単位で少しずつアップグレードして、SLRに準じたスペックを目指すのが無理をしない趣味としていいのかも知れません。

まとめ

マドンに乗っているのにサイクリングしかしないという行為は、Mac Pro(100万円)を買ったのにSNSで呟いてるだけに近い行為だと思います。

これぞムダの極み。しかし、それでいいのです。趣味なんだから。

良品は使っていて気持ちがいいし、なによりストレスが少ない。十分過ぎるスペックは充分を兼ねると思っています。

そこで、SLRを買うのかい?という問題。
10年乗れば1日あたり390円と思うと、買えなくはないです(笑)

ただ、140万円の予算の中で45万円のSL 5を買って残り95万円を家族のために使う選択肢を考えるとグヌヌ…となります。

ああ…それにつけても金の欲しさよ。

ディスクロードの導入でまだ迷いが晴れない。そんなRockmanでした。

【関連記事】

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コメント

  1. カディエ先生 より:

    10年乗れば1日当たり390円…
    よし!その理論でピナレロ DOGMA Fにスーパーレコード組&GOKISOのホイールで完成車価格300万↑を1日当たり1000円程とか言って…
    まぁ現実的じゃないよね…
    サマージャンボ散る…オータムジャンボに期待( ー`дー´)キリッ

    • RockmanRockman より:

      >カディエ先生 様
      私もサマージャンボで散りました(笑)
      オータムジャンボと年末ジャンボに期待していきましょう!(^ω^)

  2. カディエ先生 より:

    今週の秘密のケンミンショー
    福島の馬肉文化
    元々馬肉の生食文化が無かったのに生食文化をもたらしたのが力道山!
    実は力道山、自転車好きな一面が…
    そんな力道山の愛車はチネリ
    海外に行った際、力付くでハンドル握っても変形しなかったとかの理由で気に入って購入したとかいう逸話が…
    それがニュースになり当時のローディーに『いつかはチネリ!』と憧れられたのだとか…
    って事で福島県民のロックマンさん
    TREKも良いけどチネリも検討してみては如何でしょうか?

    • RockmanRockman より:

      >カディエ先生 様
      馬肉は美味しいですよ〜。馬刺しで食べてもいいし、お寿司にしても絶品です♪(^ω^)

      チネリですか!スーパーコルサは今でも欲しいフレームですね。
      ただ、玄人好みのクロモリモデルはもう少し年を重ねてからでもいいかなぁ〜などと思っていますw