スペシャライズドのAllez E5 Sportsという2世代前のエントリーロードバイクに最近乗っているのですが、これが思いのほか良くてですね…。びっくりしちゃいました。
ブログネタとしてちょうど良さそうなので、今回は自転車オタクから空気あつかいされる廉価グレードのロードバイクについて書いてみようと思います。
ところで、この自転車がなぜ我が家にあるのでしょうか?
ディスクロードを買ったばかりなのに、リムブレーキのバイクをわざわざ増車した??
そんなわけないないw
↑↑My Aethos 1 Expert
ワタクシの愛車、エートスくんの代車でございます。
Aethos 1は先日、SRAM Rival eTapの初期不良で右シフターを交換しました。そして、今度は未交換だった左シフターがおかしくなりましてね(笑)
一週間ほどの予定で入院しているのでございます。

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今週は天気が悪い日がつづくため、代車はいらないと思っていたのです。しかし、スペシャライズド福島様のご厚意にあまえる形で、レンタサイクルで使われている車体をお借りしてきました。
このAllez E5 Sportsは、アルミフレームにDT SWISSのよくわからん鉄ゲタホイール。リムブレーキに機械式8段変速のクラリスという仕様。
新車価格はおよそ9万円と激安だったロードバイクです。
ちなみに、デジタルスケールで量ってみたところ、ペダルつき重量で9.7kgでした。
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↑↑S-WORKS Tarmac SL8
現在のフラグシップモデルS-WORKS Tarmac SL8とアレーを新車時の価格で比較すると、両者の差は実に20倍。
車で例えると、カローラクロスのGグレードとフェラーリ プロサングエを比べるようなものです。
もし、同レベルの選手同士でレースをしたら、勝負にならないほどのタイム差がつくでしょう。
しかし、サイクリングの楽しさや爽快感が20倍も違うのか?というと、そんなことはありません。せいぜい、1.2倍くらいじゃないでしょうか。
アレーに乗ってみると、自転車という乗り物の本質的な楽しさに価格やグレードは関係ない。そう、気づかせてくれます。
なんなら車体に気をつかわなくていい分、アレーの方がいろんなところに行けて楽しかもしれません。
というわけで、今回のブログは「足るを知る」という成句がぴったりはまるスペシャライズドのアレーについて。
当ブログ管理人のRockmanが思うところをつらつら書いていこうと思います。

これと同じやつが欲しくなって中古を探してみたんだけど、ビチアモで程度「C」のフレームしかないんだよね。1万円台で安いんだけど、酷使されたアルミフレームを買うのはちょっとリスキーに思えて手が出せない。
「整備・カスタム・ライド」全てが手の内にあるエントリーロードバイクの魅力
ロードバイクという世界に足を踏みいれ「その沼の深み」にハマると、雲の上に存在するフラグシップモデルを意識するようになります。
愛車を憧れのモデルに近づけるべく、カスタマイズと情報収集にはげむ日々…。
耳元では、自称インフルエンサーの素人芸人が「コノパーツ最高DEATH!」「カイDEATH!!」とがなりたてている。
案件動画うぜーと思いつつも自転車という合法麻薬で脳を焼かれたオレたちは、いつの間にか、たいして変わり映えのしないカーボンパーツで部屋があふれかえる始末。しまいには、愛車に満足できなくなっている自分に気づきます。
地獄の餓鬼のように満たされない存在。たかが自転車に200万円ぶち込みそうになる異常者。家族の視線は絶対零度。それが我ら自転車おじさんデス。
だが、ふと立ち止まって考えてみましょう。自転車趣味をはじめたころに感じた純粋な喜びってなんでしたっけ?
「頬をなでる風の気持ちよさ」って、ハイエンドじゃないと味わえませんか??
そんなことはありません。暖かいお日様を存分に浴びて健全な汗をかく。健康的な快楽を享受する。この楽しさは、自転車のスペックと無関係です。
そいういった原点に気づかせてくれるのが、エントリー仕様のロードバイク。今回でいうところのスペシャライズド アレー スポーツです。
いうなれば、ハイエンドバイクという阿片に毒された我々をデトックスしてくれる存在とでも申しましょうか。
人権があるのは105以上のモデル!などという価値観の人間からは見向きもされない。スペックだけを見れば、最新モデルの影に隠れてしまいます。
しかし、この一台には「足るを知る」という哲学が宿っていたのでございます。
スペシャライズド アレースポーツ(2016)
フレーム:E5プレミアム アルミニウム
サイズ:52
ブレーキ形式:リムブレーキ
フォーク:FACTカーボン
コンポ:クラリス(R2000)
ホイール:DT SWISS AXIS CLASSIC
タイヤ:パナレーサー クローザープラス
重量:9.4kg(ペダルレス)
ジオメトリ
項目 | 49 | 52 | 54 | 56 | 58 |
---|---|---|---|---|---|
シートチューブ長 | 460 | 490 | 510 | 530 | 550 |
トップチューブ長(水平換算) | 518 | 538 | 549 | 565 | 582 |
ヘッドチューブ長 | 100 | 120 | 145 | 170 | 205 |
ヘッド角 | 72.25° | 73.0° | 73.0° | 73.5° | 73.5° |
シート角 | 75.5° | 74.0° | 73.5° | 73.25° | 73.0° |
フォークオフセット(レイク) | 45 mm | 45 mm | 45 mm | 45 mm | 45 mm |
トレイル | 60.3 mm | 55.7 mm | 55.7 mm | 52.6 mm | 52.6 mm |
BBドロップ | 72 mm | 72 mm | 69 mm | 69 mm | 68 mm |
BBハイト | 264 mm | 264 mm | 267 mm | 267 mm | 268 mm |
チェーンステー長 | 405 mm | 407 mm | 407 mm | 407 mm | 410 mm |
フロントセンター | 578 mm | 578 mm | 585 mm | 593 mm | 607 mm |
ホイールベース | 972 mm | 974 mm | 982 mm | 990 mm | 1008 mm |
スタック | 505 mm | 527 mm | 548 mm | 574 mm | 606 mm |
リーチ | 387 mm | 387 mm | 387 mm | 392 mm | 397 mm |
スタンドオーバーハイト | 736 mm | 759 mm | 783 mm | 805 mm | 834 mm |
※数値はメーカー公式データおよび海外ジオメトリデータベース(BikeInsights等)をもとに再構成。
2016年モデル アレースポーツのジオメトリデータがスペシャライズドジャパンのWebサイトから消えていました。
データを補うためにChatGPTを用いて海外サイトからデータを収集した結果が上の表になります。
このデータを見ると、アレー スポーツはエントリーモデルにもかかわらず、レース寄りのジオメトリを採用していると思いました。
気になったのが、フォークオフセット。45mmという1種類しかないため、56サイズ以上でトレール値が52.6mmというかなり短い数値になっています。
通常だと、ここはサイズの小さいフレームが犠牲になってトレール値が異常値(64mm以上)になるのですが、アレーは逆に大きいサイズのハンドリングを機敏にしているのが解せませぬ…。(トレール値52.6mmは異常値というほどではなく、許容値の範囲内ではある)
リーチも49〜54サイズで同一なのも何か変(笑)
Bikeinsightsのデータが間違っている可能性もあるので、ここは参考にとどめておくのがよさそうです。

52サイズのヘッドチューブ長を実際に測ってみたら120mmでした。いちおう、ジオメトリ表と合致していますね。
車体構成
10年前はダウンチューブに沿うかたちでシフトワイヤーを這わせていたよね〜と懐かしさをおぼえる部分。
ワイヤーが汚れやすいけれど、掃除もしやすい。交換も楽勝。整備性は満点でございます。
小ぶりで握りやすい形状のR2000系STIレバー。
昨今のクソ重たい機械式変速・油圧ディスクブレーキのレバーと比べて、なんと軽いことか。
車体自体は10kg弱と重いのですが、ハンドルまわりが軽いおかげて操舵感にストレスは感じません。
チェーンリングは50-34Tのコンパクトクランク。シマノでは一般的な組みあわせですね。
ちょっとびっくりしたのが、13-26Tという8Sのカセット。
エートスで10-36Tというワイドギヤを使っているせいか、そのあまりにも小さいスプロケットに目が点になりました。
ヒルクライムでMAX 26Tのギヤは辛そうです。というか辛いです。漢ギヤです(笑)
ただ、26Tを使っていて「もう後がねぇ!」と思うとなんとかなります。気合いです!気合いぃぃぃ〜!!
リヤの変速は、アップ・ダウンともにきわめてふつう。なんの問題もありません。しかし、クラリスのフロント変速(インナー → アウター)!てめーはダメだ!!
ガチャガチャガチャァァァ!!というやかましい異音をたてながら、やっとアウターに入る(笑)
ただ、フロント変速を多用するようなシチュエーションはないですから、ここはあきらめましょう。パーツの互換性がなくて上位のチェーンリングやディレイラーと交換できませんから。
ホイールとタイヤはお察しください(笑)
ここは中古のキシエリかレーゼロにコンチのGP5000あたりを組み合わせたいところ。
最小限の投資で最大限の効果が得られるカスタマイズで走りの質がノーマルとはレベチになります。
ポジティブに考えるなら、こいつはまだ変身前のモブ・サイヤ人といったところ。
足まわりを変えてやるだけでスーパーサイヤ人化できるんですから、潜在能力の高さを評価しましょう。
ブレーキはクラリスグレードのキャリパーブレーキ。
105と比べると引きが少し重くて剛性感のなさは否めません。まぁ…通常使用では、問題は感じませんけどね。
ダラダラとつづく下りで「当て効き」からの「強めのブレーキング」を試してみましたが、ちゃんと止まれます。
ただブレーキは、タイヤ・ホイールに次いで交換したいカスタムポイント。もし、アレーを手に入れたらBR-R7000に交換すると思います。

Amazonで105グレードのブレーキキャリパーが前後合わせて1万1,000円少々で揃うね。お小遣いでここを変えてみると効果的。くだりの安心感がぜんぜん違う!
乗り心地がいいアルミフレーム
アルミフレームは、一般的にカーボンと比べると乗り味が硬く、振動吸収性で劣っているのは周知の事実でございます。
ところが、このアレーは乗り心地がかなり良くておどろました。
昔乗っていたキャノンデールのCAAD 9(最後のMADE IN USA)より、はるかに優しい乗り味です。
ハンドルやサドルから伝わってくる振動も角のとれたソフトなもの。
「アルミ」という言葉から連想されるガチガチさとは無縁。カーボンフレームと比較してもそん色のないソフトさでございます。
この乗り味の良さはフレームの特性もさることながら、タイヤの影響が少なくないと思います。
フレームがアルミだった過去の愛車、CAAD 9は23Cのタイヤサイズでした。一方のアレーは25C。タイヤサイズが2サイズも大きくエアボリュームがあります。
パナレーサークローザープラスのモチッとしたグリップ感も乗り心地の面でプラスの効果を発揮しているのでしょう。
リムブレーキモデルの最終型に近い本モデル。26Cくらいのタイヤは飲みこめるクリアランスがあります。
このタイヤサイズをチョイスできるのは、今後の運用を考えた上でも大きくプラスに働くことは間違いありません。
ちなみに、ペダルを踏み込んだ瞬間の推進力もぜんぜん悪くない。さすがに、ゼロ発進は重く感じますけどね。
ホイールとタイヤをミドルグレード以上のものにすれば、その性能は飛躍的に向上すると確信がもてます。
リムブレーキ特有の軽さと潔さ
2世代前のアレー スポーツは、リムブレーキ仕様です。
今やロードバイクの主流はディスクブレーキに移行していますが、リムブレーキには明確なメリットがあります。
まずは軽さ。
ディスクブレーキ化した現行のアレーと比較すると完成車重量で500gほど軽いです。
そして何よりも、メンテナンス性がいいこと。
ワイヤーやブレーキシューの交換、調整も気軽にセルフメンテナンスでおこなえます。
油圧ディスクブレーキのように、あやまってピストンをポロリしたり、DOT5.1のフルードをぶちまけて絶望することもありません(笑)
すべてを己の手の内でコントロールできるシンプルさ。潔さといってもいいでしょう。ここは、リムブレーキ最大の利点ですね。
エントリーグレードのロードバイクに乗るなら、リムブレーキ末期のモデルが最高でしょう。ちょっとしたカスタマイズは自分でできるし、すぐに7kg台の車体になりますから。
速い・安い・うまい!の三拍子そろったロードバイク。そのベースとなる車体がヤフオクで5万円前後で入手できるのですから、美味しすぎます。

リムブレーキ用の軽いSTIにグロータックのEQUALブレーキという組み合わせなら、ディスクブレーキ仕様のエントリーモデルも有りだとは思う。
耐久性とランニングコストに優れたクラリス
アレー スポーツの駆動系は、シマノ・クラリスの8S仕様。
電動変速の12Sが当たり前の時代にあって、このコンポは時代遅れのように映ります。
正直、13-26Tというカセットは、普段12Sのワイドギヤ(10-36T)を使っている者からすると驚きでした。高速と低速を潔く切り捨てたギヤの構成がとても新鮮です。
ただ、実際に乗って思うことは「これでええやん!」という素直な感想。最高速にトライしたり激坂を攻略するのでなければ、この構成でも十分に対応できます。
普段使わないトップとロー寄りのギヤを削減して、実用域でのギヤを最大限に活用する。この考え方はまことに合理的です。
クラリスの太いチェーンは耐久性に優れており、5,000kmはもちます。そして、どこの自転車屋でもたいていは在庫しているので、入手性がすこぶる良い。しかもお安い。
カセットはスチール製で重くはありますが、アルミやチタンのものよりはるかに長持ち。そして、お安い(笑)
変速の調整だって楽勝です。
11Sもある薄歯の変速機をスムーズに動くように調整するには、技術とセンスが必要。しかし、8Sなら素人調整でも無問題。実にイージーです。
高性能や上質さを味わうことは、趣味の世界において喜びではあります。ただ、必要十分という価値観も大いにあり。
上から下まですべて経験した上で、あえてエントリーモデルを選ぶ。こんな選択もミニマルで好感がもてます。
足るを知るという自由
「足るを知る」とは、妥協ではありません。
むしろ、それは「必要なものを見極めるセンス」のように感じました。
ロードバイクという趣味は、常により速く・より軽くという欲望を刺激してくる。
しかし、上へ上へと限界を求め続けることは同時に「満足」を遠ざける行為と同義ではないでしょうか。
アレー スポーツに乗っていると、そうした欲望のノイズがいつの間にかうすれ消えてゆく。
ペダルを踏み風を切り、路面の感触を感じながら、「いまこの瞬間」に集中している自分がいる。
自転車趣味において、足るを知るとはスペックを諦めることではありません。ズバリ、「走るよろこび」を噛みしめる行為。最近はそんな風に思うのであります。
まとめ
あらためてリムブレーキの良さを感じる一台でした。程度のいいものがあったら、ぜひ手に入れたいと思っています。
普段使いや平坦メインの100kmサイクリングなら、このアレーで十分。電欠や無線変速レバーの不調に悩まされることもありませんからね(笑)
Aethosは気に入っているので手放すことはありませんが、アナログなアレーと2台体制で趣味を楽しむのも乙なもんでしょう。
S-WORKS Tarmac SL8に乗って頭がおかしくなっていたワタクシを正気な方向へ修正してくれたアレーちゃん。実にかわいいやつです。
もう数日で返却しなければなりませんが、それまでは楽しませてもらおうと思っているRockmanでした。

アレーに乗っていたらサイクリーマンが読みたくなってしまった。もし読まれていない方は、ぜひ手にとってみてね♪ロードバイクで出かけたくなるから。
コメント
13-26Tで満足ですか…
引っ越し前の街中のアパートを賃貸してた頃なら賛同出来たでしょうが…
引っ越した後、現在の賃貸物件は10%勾配の登り坂の途中にあるので貧脚な自分には行きはともかく帰宅時ラストの坂が登れません現象が発生します
ぶっちゃけ今のカーボンバイク購入時もショップに『デブだけど坂登れるギアで!』とお願いして11-34Tを組んでもらった経緯があるので…
ギア11枚必要か?と問われたらトップ側2〜3枚使えて無い事実があるけど105必要か?と問われたら間違いなく34Tが必要だから105以上が欲しいと答えます
じゃないと帰宅時にラストの坂登れませんw
>カディエ先生 様
26Tでも気合いで何とかなりました(笑)
さすがにヒルクラを頻繁にやるなら8Sでも11-34Tに変えた方がよさそうですね。
ただ、歯数差が大きすぎて(11-13-15-18-21-24-28-34T)ロー寄りでスムーズに走れるか不明です。^_^;