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【インプレ】スペシャライズド Aethos 2の試乗会で転けそうになった話と旧型との差について

ロードバイク

スペシャライズド福島さんで行われた、新型エートスの試乗会に参加してきました。

お借りしたのは、S-WORKSの52サイズ。コンポは9200のデュラエース。ホイールはRoval Alpinist CLX IIIという最新の構成です。

少々きもを冷やすトラブルはあったものの、試乗時間を20分ほど延長させてもらい、エートス2を堪能たんのうしてきました。

シンプルなヘッドチューブ

35C対応のフォーク・クリアランス


軽量化した専用のUDH

  • 油圧ケーブルの内装化
  • 35Cまで対応したタイヤ幅の拡大
  • UDH(ユニバーサルディレイラーハンガー)の採用

これら現代的な仕様へとブラッシュアップされた本モデル。派手さはないけれど、わかる人には分かる大人のバイク路線は継続です。

使い古された表現を用いれば、エートス2は「羊の皮をかぶったオオカミ」といったところ。その外観は、性能の高さを誇らしげにアピールすることはありません。

しかし、サイクリストがひとこぎすると脳から溢れだす快感の汁…汁…汁…。こいつに乗ると、自転車で鍛えられた脳の報酬系がそくざに反応します。

エートスのとてつもない軽さは、まるで自分の体とバイクが神経接続されているかのよう。

これは阿頼耶識あらやしきシステムを搭載したガ○ダムですか?いいえ、Aethosエートスです!

トップチューブの端にちっちゃく書かれた「S-WORKS」の文字。その静謐せいひつな佇まいに大金を払える方は「数奇者」でございましょう。

人生経験豊富な趣味人が「己の好き」を追求してたどりつく燻銀いぶしぎんの相棒。エートス2の佇まいには、そんな渋さがあります。

前作と大きく異なる点は、ジオメトリが変更されたこと。パフォーマンスロード由来の前傾姿勢からアップライトな乗車姿勢となり、ハンドリングは安定志向になりました。

先ほどエートス2を「羊の皮をかぶったオオカミ」と表現しましたが、その性格はけっして激しいものではありません。

5年という歳月を経て、エートスは成熟をはたしました。前作でとがっていた角がいくぶん丸まり、人当たりがよくなっています。

だからといって、ぬるいバイクになったわけではありません。

ミニマルな姿で「レースはやらないよ」と宣言しつつも、本気を出せばヒルクライムで最新のエアロロードを撃墜できるマッチョなやつ。

この極端な二面性がギャップ萌えポイントでございます。



実際に乗ってみると、新型の方が明らかにハンドリングが安定していると感じます。

一般的には、こちらの特性を好む方が多いはず。旧型のS-WORKS仕様と比較して、特にくだりの挙動がマイルドですからね。

ライトウェイトのスポーツカーで峠を攻めているような感覚があった初代から、どっしりと安定してコーナーをクリアーしていくGTカーのようなおもむきにエートス2は変化しております。

この点は、モデルチェンジの方向性として至極真っ当。ケチのつけようもない改良です。

しかし、旧型オーナーとしては、ちょっと残念な気持ちもあるのが正直なところ…。

S-WORKS Aethos 1のキレッキレのハンドリング。そして、パリッ!とした乗り味に惚れて前作のエートスを購入した当ブログ管理人のRockman。

新型のハンドリングに対し「こうじゃねぇんだよなぁ…」と思わずつぶやいてしまったのは事実でございます。

モダンな仕様にアップデートされた新型は、商品として磨きがかかっております。旧型の乗り味を知らない方には、ブラッシュアップされた新型は文句なしに素晴らしいモデルとおすすめできます。

しかし、個人的に好きなやつは初代のモデル。「良いもの」と「好きなもの」はちょっと違う。試乗した感想をざっくりまとめるとそんな感じです。

Rockman
Rockman

サイスポの記事でエートス2をインプレした吉本さんが「我が愛車(Aethos 1)の魅力が薄れることはない」「しかし、自分のライド仲間がエートスの購入を検討しているなら新型をすすめる」というしめの文章を書かれていたね。同じ旧型オーナーとして、この一文はすごく共感したよ。

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現代仕様にアップデートされたエートス2の真髄


SPECIALIZED S-WORKS Aethos 1(初代)

エアロはあえて無視して、ライドクオリティを追求した孤高のロードバイク。それが先代のAethos 1でした。

ほとんどの人はレースに参加しないのに、レース仕様に準じたバイクに乗りたがる。そんな矛盾をかかえた自転車界隈。

趣味人として成熟しきっていない我々に対し、スペシャライズドは「こんなに軽くて面白いものを作ってみたけど、どうよ?」と、ユーザーに問いかけるべくエートスを投入してきたわけです。(実際は技術先行でコンセプトは後付けらしいが)

商業的に成功したかというと、正直微妙なところ。けっきょく売れるのはターマック。これが現実でございました。

Rockman
Rockman

走っていてエートスとすれ違ったことはないし、ショップに行ってもターマックばかり。Aethos乗りは店員さんの一人以外みたことがない。




SPECIALIZED S-WORKS Aethos 2(二代目)

エートスは一代限りで終わるのでは?まことしやかに囁かれていたところで新型の発表。このバイクに惚れこんでいる者として、本当にうれしかったです。

いくら良いものでも、次に続かなかったら意味がありませんからね。

ただし、今回のエートス2はジオメトリを大きく変更して、エンデュランス寄りの性格になりました。

旧型の54サイズにステムべた付けで乗っている者からすると、新型の54サイズ(スタックは旧型の+15mm)では、ポジションが出しにくいのです。

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どうせ試乗車はコラムスペーサーましましの仕様だろう!という予想から、試乗させてもらうのは新型の52サイズに決定。

そして、こちらがトータル35mmのスペーサを積んでいるS-WORKS エートス2の試乗車です。

単純計算で旧型の54サイズよりも29mmほどハンドルが高い仕様になりました。

52サイズは、ステム長が90mmというワタクシのポジションからすると短い Roval Alpinist Cockpit II が標準装備。ハンドルとの距離が近くなったため、少々の違和感はあります。

ステム長は100mmのものにしたいところですが、このていどなら問題なし。フロントセンターも拡大しているので、サイズダウンしても不都合はありません。

バイクを体に合わせるのではなく、自分をバイクに合わせる形で試乗をはじめます。

トラブル発生!違和感を感じたハンドリング

車体を受けとった瞬間から手につたわる圧倒的な軽さ。

56サイズで6.05kgですから、52サイズではもっと軽いのでしょう。自転車の形をした模型に触っているような感覚です。

同質量の純銀よりも高価なこの車体。転倒したら洒落になりません。

まぁ…その懸念が現実に起こりかねなかったことに、この時は気づいていませんが…。



走りはじめると、まぁ〜軽い。さすがはエスワのエートス。6kgという車体重量は伊達だてではありません。

しかし、強烈な違和感を覚えます。ハンドリングがだるすぎるのです。なんじゃこりゃ?と思うほどにおもく反応が鈍い…。

新型の52サイズは旧型の54サイズと変わらない58mmというトレール値。

ヘッド角が72.1度となり、旧型54サイズと比べて0.9度も寝せる形になっていますが、フォークオフセットをのばしてハンドリングがだるくなりすぎないように調整してあります。なのに、この感触は理解できません。

もしかして、P点(ヘッド軸の延長線とフロントエンドの垂線がまじわる部分)の位置がかなり下がったのか??などと原因を考えはじめました。

Rockman
Rockman

ジオメトリやP点については、こちらの記事を参考にしてくだされ。

2台目以降のロードバイク選び!トレール値からハンドリングを予想しよう
ディスクロードを買う!と決めてから、ジオメトリ警察になっているRockmanです。さて…ロードバイクはSOH(スタンドオーバーハイト)が自分の股下よりも25mm以上低ければ、とりあえずは乗れます。(スタンドオーバーハイト)「見た目が気に入っ...

 

色々考えてみてもわかりません。トレール値が63mmもあるキメラですら、もっと軽快だったのに、なんだコレは???

頭の中が「?」状態のまま、試乗コースのコーナーが迫ります。

ブレーキングで減速、フロント荷重にして車体を傾ける。すると、フロントタイヤがズルッ!と腰砕けになりました。

ギャァァァァァァァー

この瞬間、ワタクシの顔面は真っ青になっていたことでしょう。

なにせ、176万円の借り物バイクをかすなんてことになったら、弁償の負担は洒落になりませんから。

己の体よりもバイク!まずはエートスをなんとか立て直さねばッ!!必死にコントロールします。その結果、なんとかバランスをとってことなきを得ました。(この間、0.3秒)

コーナリング時に起こった現象から原因は明白でした。空気圧がまったく足りていません。

まさか、「試乗車の空気圧が低いかもしれない」という想定は頭の中から完全に抜けていました。

スタートの時点から違和感を感じつつも、そのまま走り続けてしまった自分に失望します。

お店に戻ってフロントタイヤの件を報告。チェックしてもらったところ、1Barしか空気が入っていないではありませんか!

この空気圧の低さは相当まずい。コーナリング中にタイヤが外れなくて本当によかったです…。

実は試乗車のAethos 2には、未発表のスペシャライズド製TPUチューブがインストールされていました。

前後ともに同じタイミングで空気を入れたのに、フロントタイヤだけスローパンクのような状態。個体差によるエア漏れが疑われます。

今回のヒヤリハットから、いい教訓を得ました。何事も違和感を感じたらそのままにしない。原因を探すという初歩的な確認を怠ってはいけません。

みなさまも試乗のさいは空気圧のチェックをするよう、心がけてくださいね。

Rockman
Rockman

本当に肝を冷やすファーストインプレッションだったわ…。

エアーを充填して再スタートからのインプレッション

試乗時間を延長しても構わないという、スペシャライズド福島さんのありがたい申し出に感謝して、再び試乗スタート。

エアー不足によるハンドリングの違和感は、前後5.5Barほど空気をいれたことで霧散。この状態ならエートス2を心から楽しめます。

乗り心地

Aethos 1と比べると、乗り心地は幾分いくぶんかたさを感じました。

といっても、脚あたりが強いとかそんな話ではありません。あいかわらず、乗り手に対する優しさを感じる乗り心地です。

ただ、今感じている「Aethos1よりもかたい」という感覚が車体を構成するパーツのどこでどの程度の影響をおよぼしいるのか?その割合がわからんのです。

フレーム由来なのか、ホイール由来なのか、はたまたTPUチューブによる影響なのか…。

ホイールを変更して比較すれば、あるていどは分かるはずです。しかし、今回の試乗会では、そんなことはできません。実に残念だ。

とはいえ、エートス2は乗っていてフロント部分を中心にフレームの剛性があがっているように感じました。この剛性感はエートスというよりはターマック SL8に近い感覚。

推測の域はでませんが、乗り心地で感じた「かたさ」の理由は、フレームの剛性とも深い関係があるはずです。

Rockman
Rockman

乗り心地を左右するのはタイヤまわりの影響が大きいよね。TPUチューブと空気圧の関係も機会があればチェックしてみたいポイント。あと、カーボンスポーク化したホイール(Alpinist CLX III)の影響も見逃せないと思う。

 

加速

低速からの加速力は爆発的なもの。「HA!HA!HA!」とテンプレ・アメリカ人のような笑い声がでてしまいました(笑)

おそらく、低中速域の加速力はターマックSL8を凌駕りょうがしていると思います。瞬間的にパワーをかけた時の剛性感も申し分ありません。

引き絞った矢尻が解き放たれるかのごとく、ぶっ飛ぶように加速していく。これぞ脳汁プッシャーでございます。

しかしながら、加速している時に神経質さを感じさせないハンドリングにはあっぱれ。ここはジオメトリが変更されて安定方向になったGood Pointでしょう!

踏み込んだ力が即座に推進力に変わるようなダイレクト感。乗り手の「意志」とバイクの「反応」との間にタイムラグを感じさせないこの感覚…。

めちゃくちゃ気持ちいいです♪

 


Rival Alpinist CLX III

Rockman
Rockman

加速力が凄まじくいいと感じたのは、カーボンスポーク化したAlpinist CLX IIIの影響が強いはず。軽すぎて慣性力がかかりにくいから高速巡航はイマイチのびないけれど、加速勝負やヒルクライムでは絶大な威力を感じたよ。

平地巡航

フォークブレードのカムテール化や一体型ハンドルのエアロ効果によって、平地巡航性能(速度維持力)は上がっていると感じました。

とはいっても、45km/h以上になると明らかにターマックの方が空力性能は上です。

エートス2は、30〜40km/hあたりのレンジで速度を維持するのがちょっと楽(旧型と比べて)というていど。40km/hをこえると新旧どちらもしんどいことに変わりはありません(笑)

ここは、リムプロファイルの低いカーボンホイール(リムハイト33mm)をはいている影響が大きい部分でもありますね。

平地巡航は、エアロ化を追求しているターマックSL8が強い。平地を速く走りたい人は、迷わず最新のエアロロードにするべきです。

Rockman
Rockman

エートスが油圧ケーブル内装化に舵を切ったのは、完全に見た目をすっきりさせるというトレンドに乗ったからよね。そこに空力的なマージナルゲインはないと思うんだわ。

のぼり

エートスが本領を発揮するステージ。それこそが「坂」や「のぼり」「峠」と表記される登坂区間です。

めちゃくちゃ軽くて、ギュンギュンのぼっていきます。

シッティングでリズムよく踏んでいくと、「妖怪背中ひっぱり」もなんのその。ペダルから車輪へと駆動力を伝える過程で、機械的なロスが最小限に抑えられているのを感じます。

ダンシングで雑に車体を振ってもAethos1のようなゆるさは感じません。

ヘッドチューブを中心にがっちりとパワーを受け止めてくれる感触。やはり、新型は剛性が上がっているぞ!と感じる部分ですな。

水を得た魚のように「これぞ俺様の領域!」といった登坂性能を味わえる坂道。

ヒルクライムは嫌いですが、こいつとなら激坂にチャレンジしてもいいかなぁ〜なんて思わせてくれます。

くだり

前作の特徴としてあげられる「ヒラヒラ感」や「舞う」ような走りではできません。安定して坂道を下っていくことができます。

ジオメトリーの刷新によって、ヘッド角は0.5度ほど寝せられ、BBハイトは3mm下がりました。そして、ホイールベースも7mmほど延長されたエートス2。

このような細かいジオメトリの見直しによってもたらされたのは、くだりの安定性からくる信頼感です。

恐怖心を感じることが少なくないダウンヒルの高速コーナー。エートス2なら緊張することなく飛び込んでいける!そんな信頼感をバイクに対して持てるのは幸せなことだと思います。

 


Roval Alpinist Cockpit II


S-Works Power with Mirror

フレームのジオメトリの影響もさることながら、S-WORKS仕様に採用されているパーツ群もいい仕事をしているのでしょう。

不快に感じる微振動をうまく濾過ろかして、路面からのインフォメーションはしっかりと伝えてくれる。

新型の一体型ハンドル、アルピニストコクピットII。そして、3Dプリンタで整形されたミラーサドルは自分のエートスにもぜひ付けたい装備です。

Rockman
Rockman

S-WORKSモデルに標準でついてくる一体型ハンドルは、個人的にとても気に入った一品。自分の愛車で使っているRAPIDE ROAD BARよりもしなやかで疲労を感じにくいよ。(手が痺れない)

まとめ

並の開発者なら、ひよってフレームをエアロ化しそうなところをあえてしなかった勇気。

初期のコンセプトを守り抜いて必要最低限のアップデートにとどめたエートス2の美学。実にすばらしいと思います。

ただ、現時点でS-WORKS ターマックSL8に乗った時のように「増車したい!」と思わせる強烈なインパクトは、この子にはありませんでした。

しかし、5年後にワタクシがアラフィフ目前となった際には、購入を検討するかもしれません。

安定性が増したハンドリング。アップライトな乗車姿勢。これは、加齢で前傾姿勢がしんどくなったジジイにはメリットが多いはずです。

スピードやタイムといったロードバイクにつきまとう呪縛から解放された、エートスという存在。

この先も「3」「4」とシリーズが続いてほしいものです。

そのためには、定期的に買い替えて売り上げに貢献しないといかんかもなぁ〜などと、思ってしまったRockmanでした。

Rockman
Rockman

今のところ、一番ほしいのはターマックSL8という自分ランキングは不動じゃったね。とりあえず、エートスとターマックの2台持ちができるように頑張るぞい!

 

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