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【リムVSディスク論争】高騰するロードバイク趣味のこれからを考える

自転車

X(旧ツイッター)では、定期的に「リムブレーキVSディスクブレーキ」論争がおこります。

これで何度目ですか?とツッコミを入れたくなる両陣営のやりとり。お気持ち表明をしている方々のポストを見ていると論点がどんどんズレるズレる…

この問題の本質はロードバイクのディスクブレーキ化ではありません。プライシング(値づけ)です。

高騰したディスクロードが気に入らない!

需要喚起じゅようかんきのために無理やりディスクブレーキに移行させようとしている!

オレたちにメリットのない自転車を高値で売りつける自転車業界が許せない!!(陰謀論)

こんな不満を持つサイクリストの気持ちを逆なでするかのように油圧ディスクブレーキ至上主義者(業界人)がXで火をつけて盛大なキャンプファイアになるという構図ですな。

正直なはなし、ディスクブレーキに移行してもリムブレーキ時代とほぼ同じ、もしくは微増のコストアップですむなら喧喧諤諤けんけんがくがくなことにはならないはずです。

問題はいつも『銭』。大金を払うだけの価値を見出せないものに対してそではふれないのであります。悲しいけれどね…

というわけで、久々のブログでは高騰する自転車趣味について。

レースには参加しない、雨の日は走らない。そんなごく一般的な自転車好き(ライト層)がロードバイクの高騰にどうあらがえばよいか。ワタクシなりに考えていることをつらつら書いていこうと思います。

もう結論からいっちゃうと…

開発コストのかかる令和最新のエアロバイクにはこだわらず、ジャンルをちょっとズラして自転車遊びをしよう♪

もうグラベルロードでいいや!ちょっと重いけれど…

であります。

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ディスク化が問題ではない!価格が問題なのだ

2018年から本格的にはじまったロードバイクのディスクブレーキ化。

デュアルコントロールレバー内に油圧マスターシリンダーを内蔵した影響で、従来の機械式変速機ではレバーが重くなることが問題となりました。

そのため、アッパーミドル以上のグレードでは電動変速を採用することが標準仕様となります。

油圧ディスクブレーキのシステムは言わずもがなリムブレーキよりもパーツ代が高価。電動変速システムも機械式の倍ちかいコストアップになります。

それに加え、2020年から本格的になったコロ助騒動。プーさんの暴挙と中東情勢の悪化によって世界経済がインフレ祭りになったことも現代のロードバイクの価格高騰にブーストをかけた要因といえるでしょう。

ちなみに、コロナ禍以前のジャイアントTCR ADVANCED PROは11速のアルテグラDi2にカーボンホイールを搭載してお値段は驚愕きょうがくの47万円(税別)。


↑↑2017年式TCR ADVANCED PRO

ディスクロードを普及させるための戦略的価格設定という可能性もあるでしょう。今現在もこのプライスなら、ディスクブレーキ化に誰も文句をいわないでしょうね。

一方、2025モデルの同等グレード、TCR ADVANCED PRO 0は77万円(税別)。両者を比較すると最新モデルは実に1.6倍以上のお値段になっております。

  • 原材料費の高騰
  • エネルギーコストの高騰
  • 輸送費の高騰
  • 人件費の高騰
  • 歴史的な円安

これら要素が重なった上にエアロ効果の追求によって、もはや最新のロードバイクは自転車版フェラーリのごとき雲の上の存在となりかけている。それが今の状況です。

なのになのに!自転車業界はそんなディスクロードを今までどおり売ろうとしている。

そりゃ売れずに在庫が積み上がりますわね。業界大手のジャイアントやトレックですら経営が厳しくなりますわね。

Rockman
Rockman

ジャイアントは2023年第3 四半期の利益が前年同期の49%減。
トレックにいたっては販売の伸び悩みと高い在庫水準の対策として事業規模を10%ほど適正サイズにすると発表しています。

 


↑↑Rockmanが大好きなND型ロードスター

おれら週末サイクリストが欲しているのはフェラーリではありません。庶民でもがんばれば何とか手がだせる価格で軽快さが楽しいロードスターのような自転車。

そんなロードバイクを売ってくださいよ!お願いします(懇願)

エアロをに身まとい先鋭化する現代のロードバイク

思い返すと、ロードバイクのフレームやホイールの軽量化が進んだことでUCI 6.8kg規制の壁にぶち当たったのが2010年あたりでした。

これ以上の軽量化に意味がなくなったロードバイクが次に注目したのが車体のエアロ化です。

2011年に登場したSCOTT FOILを筆頭に現代のエアロロードはモデルチェンジごとにその空力性能に磨きをかけながら進化しつづけております。

フレーム単体の空力性能のみならず、バイク全体でエアロ効果をたかめるために・ハンドルとステム・シートポスト・ホイールを自社設計にして全体を最適化。

そして、最新モデルではペダリングをしている人間込みで空気抵抗を減らすことにアプローチしはじめました。ついでにセーリング効果まで研究している大手メーカーもあります!

もう、こうなってくると巨大資本が札束とマンパワーでしばき合うエアロ戦争の様相。

風洞実験とCFD解析により、ロードバイクの開発には空力という重たいコストが上乗せされます。(風洞実験の設備使用契約だけで100万円。丸一日使用すると200万円ほどコストがかかる。※1.

そこに油圧ディスクブレーキと電動変速機構が組みこまれるんですから、現代のエアロロードが高くならないわけがない。

ひかくてき手が出しやすかったセカンドグレードやサードグレードでもフレームの金型はハイエンドと共通です。ということはすなわち、普及価格帯のフレームにも重たいエアロ費用が上乗せされるということに…。

レース機材たるロードレーサー(ロードバイク)は、エアロ効果の追求によって今後ますます高額化することが予想されます。


※1.自転車のエアロダイナミクスについて

自転車における空力開発に興味がある方は、ぜひラルートの有料記事を読んでいただきたい。三部にわたり書かれる内容はとても濃くて読み応えがあります。

読み終わった後、このネタだけで月額料金を払う価値がある!と当ブログ管理人のRockmanは思いました。

La route自転車研究所 其の八|最新ロードバイクの空力設計(基礎編)| La route
2011年のスコット・フォイルを始祖とする近代エアロロードは、目を見張るほどのスピードで進化を続けている。しかし、その技術の核である「空気抵抗」について、正しく理解している人は少ないだろう。空気抵抗に対する理解を深めれば、もっと自転車が楽しくなるはずなのに―― そんな想いを胸にLa routeは昨年春にオープンした風洞...

レース機材は割りにあわないと感じる

実のところ、ディスクロードに対して「買えない!買えない!」と言っている御仁ごじんも本当に金がなくて買えないわけではないと思うのです。

現にロードバイクからオートバイ趣味に移行した趣味人を観察していると余裕でディスクロードが買えるお金を使っています。(Rockmanも乗り出し40万円のクロスカブを衝動買いしましたw)

これは単に自転車にこの金額は出せない。ロードバイクは完成車でせいぜい30万円以内がいいところ。そんな価値観の人が大多数であるあらわれでしょう。

ちなみに、自転車産業振興協会の統計データによると、スポーツ自転車の購入金額アンケートで30万円オーバーの割合は全体の2%しかおりません。

購入動向調査 – 自転車産業振興協会

 

クロスバイクも含めたデータなのでボリュームゾーンが3万円〜10万円になっていますが、10万円〜30万円のゾーンは14.2%という数字。これらを鑑みるに30万円オーバーの自転車を買うのはごく限られた人だけというのがわかります。

やはり、自転車に30万円という壁は分厚い。個人的にこの価格帯をこえてくると安易に手がだせなくなる。心理的抵抗が強くはたらくのがよくわかります。

ジャンルをずらすことを考えてクロスバイクに乗りはじめたが…

子育てが忙しく、まとまった時間がとれない。以前のようにレースにも出れない。

そんなワタクシRockmanは分不相応ながらツールに出場したモデルと同等のレース機材(KOGA KIMERA 3K)に乗っております。

ただ、最近の使い方は郊外のお散歩ライドのみ。ぶっちゃけてクロスバイクでも事足ります。

そんなわけで、最近は高騰したロードバイクからの解脱げだつも考えてクロスバイクに乗りはじめました。

妻が乗っていたビアンキ カメレオンテ。フロント3段リヤ8段変速、Vブレーキというちょっと前の典型的なクロスバイク。

サドル高だけ合わせ、これでサイクリングしてみたら意外と楽しいのですよ。

ドロップハンドルでもなければ電動変速でもない。おそらくキメラよりも4〜5Kg重いはずなのに。平地メインで40km圏内のライドなら何も問題ありません。

ただ、シティーサイクル特有のアップライトなポジションが逆にきつい。

ロードのように前傾姿勢がとれない分、体重の大部分がサドルに集中します。レーパンをはいても長時間のサイクリングではお尻が痛くなりそうでした。

最悪、子供に手がかかる間はクロスバイクに逃げてもいいかなぁ~なんて思っていましたが、やはりジオメトリーはロードバイクに近いものが欲しくなりましたね。

グラベルロードにフォーカス

ということで、ここ数年ほど自転車業界が推しているグラベルロードに注目してみました。

ロードバイクとの違い
  • フレームの耐久性が高い
  • 未舗装路の走破性を高めるために必須な太目のタイヤが履ける
  • 低重心で段差でも安定

グラベルロードのいいところは、悪路でもいけちゃう走破性。ロードバイクほど殺気だっていない「ちょいゆる」な雰囲気。40代のおじさんにはいい塩梅のジャンルです。

そして何より、レーサー的性格のロードバイクよりお安い!

上位グレードは当然高価です。しかし、油圧ディスクブレーキに機械式コンポのミドルグレードであれば30万円半ばで狙えます。型落ちなら、そこからさらに20%ほどディスカウントされて20万円台でいける個体もある。

やはり、空力コストが上乗せされていない価格は魅力的です。従来のリムブレ機械式なみの負担でGETできる。これはたいへんありがたいです。

グラベルロードはその性格上、ヘッドチューブが長くアップライトなポジションをとらせるものも多いです。でも探せばロードバイクとさほど変わらないものもあります。


↑↑カーボンフレームのJAMIS RENEGADE C2

 


↑↑GIANT REVOLT ADVANCED 2

ジェイミスのRENEGADE (レネゲイド) C2やS2シリーズ、ジャイアントのREVOLT ADVANCED(リボルト アドバンスド)あたりのジオメトリーが個人的に好み。

とくにJAMIS RENEGADE S2はいいですね。ヘッドチューブも短めだし。ジオメトリも破綻していません。

エンスー的な目線でみると、レイノルズ631のスチールフレームにT47のねじ切りBB採用というのもたまらないポイントです。
カーボン万歳の時代にあえての金属フレーム。しかも、マンガンモリブデン鋼を採用しているマニアックさ。

これに乗っていれば、ちょっと自転車を知っている風な玄人感を醸し出せそうです。知らんけど(笑)

Rockman
Rockman

重量は9kgをこえてしまうけれど、ホイールをいいものに変えれば楽しく走れそうだね。

まとめ

リムブレーキのパーツが枯渇するよりも早く、23Cや24Cという細いタイヤがなくなる危機感が強いです。

とりあえず、パーツがなんとかなるまでキメラを維持しつづける予定ではありますが、もう現在の愛車にアップグレードパーツを奢ることはないでしょう。

リムブレ車は現状維持が最優先です。

今回の考察でワタクシRockmanはグラベルロードに移行しようと結論づけました。でもこの選択以外にもいろいろあります。

ELVES(エルヴス)やYOELEO(ヨーレオ)などの新興メーカーのカーボンフレームにWHEELTOP(ホイールトップ)のコンポで比較的安価なロードバイクを作る方法もあるでしょう。それに対応してくれるショップさんも増えてきました。数年前よりも選択の幅が広がっています。

元プロロードレーサーの辻さんがプロデュースするアルミのARTMA ROAD(13万円)もいいですね。場所的な問題でRockmanが手にするには少々ハードルが高いですが…。

【元プロレーサー辻善光 監修】ダイワサイクルが新型ロードバイク「ARTMA(アルテマ)」を開発
DAIWA CYCLE株式会社のプレスリリース(2024年2月28日 18時01分)【元プロレーサー辻善光 監修】ダイワサイクルが新型ロードバイク「ARTMA(アルテマ)」を開発

 

今後も有名メーカーのロードバイクはあまり安くならない、むしろ研究開発費がかさんでどんどん高くなると予想されます。

株でウハウハの富裕層やシリアスレーサー以外のライト層は、ガチなモデルにはこだわらず心に余裕をもって自転車遊びをしていきましょう。お金は大事ですから。

Rockman
Rockman

どうでもいいけど、バイシクルクラブがずいぶん高くなっているね。スポンサー様が金欠になると広告も減って雑誌も大変だわ

コメント

  1. カディエ先生 より:

    リムブレーキから油圧ディスクに乗り換えた自分ですが
    通勤勢の自分でも油圧ディスク最高うぇ〜いヽ(゚∀。)ノ
    とりあえず自分手が小さいので軽く握ってもしっかりブレーキが効くってのは非常にありがたいし何より安全
    そして天気予報が外れ雨の中走る羽目になってもしっかり効く
    だから自分と同じく手が小さい、握力が弱いって自覚がある人は迷わず油圧ディスクで問題無いかと
    もう一つのメリットとしてオールラウンドでカーボンディープリムホイールが履ける!
    リムブレーキだと下りでの摩擦熱でカーボンリムの破損リスクを考慮しなきゃ高額出費で購入したホイール一発でご臨終なんて事も…
    でもディスク車は摩擦熱を受け持つのはディスク盤だからリムへのリスクは一切無い
    平坦だろうがヒルクライムだろうがダウンヒルだろうがカーボンディープリム履きっぱなしに出来る!
    カーボンディープリムホイール履きたい人なら油圧ディスク1択ではなかろうか?
    重量比較して軽さは正義なんて言う人も居るけどそれはブレーキ単体で見た場合
    現在は開発が進みディスク車のフレームのほうが軽い場合が多い
    キャリパー取付け部の強度の問題があるからフレームはリム車のほうが重くなりやすいから完成車で見たら気にする必要無いし破損気にしてアルミホイールで我慢した重量と高級カーボンディープリムホイールに履き替えた重量なら立場は逆転する
    ぶっちゃけリム車選ぶべきって人は頻繁に輪行して遠方に走りに行く人以外メリットは無いと思います
    自分も安月給だから価格が〜って気持ちは良くわかります
    なら効きはリムのままで十分とか重量が〜とか下手な言い訳せず正直に価格が〜と言ったほうがメーカーに刺さるのではないでしょうか?
    個人的にはそういった意見をメーカーが受けとめ企業努力してくれたら良いなって思うのでディスク車にケチつけてる人見かけたらお話するようにしてます
    ちなみに被災した実家は倒壊は免れたけどダメージが大きく取り壊す事になりました

    • RockmanRockman より:

      >カディエ先生 様
      「油圧でブレーキ操作が安定する」「雨天でも制動力がある」「カーボンホイールのリムが減らない」
      この3点は油圧ディスクブレーキの大きなメリットですよね。
      筑波山の下りでカーボンホイールのリムが破裂した車体に乗っている身としては、リムを気にしなくていいのは本当に羨ましいです。

      おっしゃる通り、『ディスクロードは高ぇんだよ!』というストレートな意見の方がメーカとしても参考にしやすいでしょうね。
      そういった意味で、13万円のアルタマロードには期待してるところです。

      ご自宅は取り壊しですか…。なんてお声をかけていいかわかりません…。
      とにかく、ご家族様ともどもご自愛ください。