Aethosが納車されて600kmほど走りました。
カーボンパーツのズレを防ぐために使用した「ブースト カーボングリス」の評価もこのくらい走ればやっても良いでしょう。
というわけで、粒子(コンパウンド)を使わないことで接触面を傷をつけにくいカーボングリスのレビューをさっそく書いてみたいと思います。
まず結論からいうと、ワタクシが乗っているエートスに使った場合は「非常に満足」という評価。
我が愛車にこのカーボングリスを使っている部分は下の3つ。
- シートポスト
- ハンドル
- サイコンマウント
いずれもズレは発生しておりません。
個人的にこの製品は気に入っています。
しかし、このカーボングリスはちょっとクセ強めな一品。パーツの形状や使い勝手の面で合わない方も当然いるはず。
そこら辺もふくめて、当ブログ管理人のRockmanが感じたことをツラツラ書いていきたいと思います。
高粘度のベタベタグリスでカーボンパーツのズレ・傷を防ぐ
カーボンフレームが当たり前となった昨今のロードバイク。ミドルグレード以上のモデルでは、当たり前のようにカーボン製のシートポストやハンドルがついてくるようになりました。
そうなると問題となるのがパーツ接合部のズレでございます。
特に、大きな荷重がかかるシートポストのズレは多くの方が悩むところ。
クロモリやアルミなどの金属パーツ同士なら、手ルクレンチでガッチリ固定してもそれほど問題にはなりませんでした。
しかし、カーボンパーツにオーバートルクはご法度。簡易型でもいいので、トルクレンチの使用はかかせません。
ここをテキトーに締めると、バキッ!という嫌な音とともに割れてしまいますからね。高価なカーボンパーツを壊すリスクは、極力排除しておきたいものです。

10N(ニュートン)以下でしめるポイントには、トピークの簡易型トルクレンチを使用しています。安いから持っていて損はない一品。
ただ、トルクレンチを使って適正トルクでしめてもカーボンパーツはズレやすいです。グロス系のカーボンは表面がツルツル、マット系はサラサラしており、どちらも大いにすべります。
そこで使われるようになったのが、カーボングリス。
接触面の摩擦力を高めることでパーツ同士のズレを防ぎつつ、しめつけトルクも弱くできる※1. 。
カーボン製品の破損を防ぐために、今やロードバイクの整備では必須のケミカルといえるでしょう。
※1.しめつけトルク
MOTOREX カーボンペーストでは「しめつけトルクを最大30%減らせる」旨の記載あり。FINISH LINE は具体的な数値に言及はないが、「過剰締めを不要にする」ことを謳っている。
カーボングリスの種類はざっくり3つ
- 粒子(コンパウンド)配合タイプ
- ダイラタンシー効果を利用するタイプ
- 高粘性タイプ
ワタクシが使用したブースト カーボングリスは「3」にカテゴライズされる製品。
アロンアルファゼリー状を煮詰めて固形化したような凶悪なベタベタ。こいつでカーボンパーツを強力に固定します。

中身はミンクオイルのペーストみたいな状態なんだけど、すさまじいベタつきっぷり。手につくと非常にやっかいだよ!
購入動機
新たに購入したスペシャライズド Aethosは、シートポスト・ハンドル共にカーボン製。ポジションを調整した際にその都度、ズレ防止のカーボングリスを塗る必要があります。
一般的にカーボンパーツのズレ防止に使われているのは、フィニッシュラインのファイバーグリップ。
しかし、この商品は粒子(コンパウンド)配合タイプ。シートポストを抜き差しするたびにこすれて傷がつく可能性があります。精神衛生上、あまり使いたくありませんでした。
そこで、ダイラタンシー効果を利用したモトレックス製品の購入を検討しました。
ダイラタンシー効果とは、物体の内部に力がかかると液体の状態から固体に変化する現象のこと。
フレームとシートポストの接合部分にモトレックスのカーボンペーストを塗布してしめつけることで、グリスが固体化。個体同士がサンドイッチされることでパーツがずれないという寸法です。
ところが、モトレックス ファイバーペーストは、ザラザラした表面には使えません。
そう!シボ加工がほどこされたカーボンパーツには使えないのです。
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ハンドルのセンター部分がザラザラしている我がエートス。シートポスト以外の部分に使うことができません。
そこで、注目したのが第3のカーボングリス。
- 粒子(コンパウンド)成分を配合していない
- シボ加工した製品にも使える。
高い粘性のグリスを塗ることでお互いを密着させるという、いわば接着剤的なズレ防止剤ですな。
グラムあたりの単価はフィニッシュラインやモトレックス製品よりも高価。しかし、それほど量を使うものではないので、試しに購入してみました。
ブースト カーボングリスの製品概要
内容量は10g。末端価格は880円。
グラム当たりの単価はフィニッシュラインの3倍超。グリスにしては高級品です。

グラムあたりの単価は高いんだけど、10gしか入っていないおかげで1,000円以下。手は出しやすいね。
特徴
粒子成分は不使用。粘度を大幅に上げて摩擦力と防水性を向上。従来のカーボングリスとは異なり、製品を傷つけないことが謳われております。
使用方法
「カーボン&カーボン」「カーボン&アルミ」「アルミ&アルミ」のシートピラー・ハンドルなどに適量を塗る。
使用時はゴム手袋の着用がオススメ。素手で触ると水で洗い流すことが困難です。
使用感
内容量10gのちっちゃいケース。実にかわいらしい(笑)
でも、こいつの中身は本当に凶悪なベタベタ。素手で触ってはいけません。パーツクリーナーで自分の手を洗浄しないとグリスが取れないほどなので!
塗り方
ゴム手袋またはヘラを用いて塗るとの説明があります。
代理店さんが説明するやり方でもいいんですが、ワタクシは爪楊枝の先端に少しだけグリスをつけて、こすりつける形で薄く塗りのばしました。
このやり方の方が使用量も少なくてすむし、塗りのばしも楽。おすすめです。

シートポストの締めつけ部分にも薄くのばして塗布。
外し方
クランプボルトを緩めてそのまま上方向へ。少しこじりながら上げるとパコッ!と取れます。
グリスの拭き取り
乾拭きでは、まず取れません。
ワタクシは脱脂用のシリコンオフをウエスに塗布して軽く拭きとっています。

シリコンオフはカーボン表面を痛めそうであまり使いたくないけれど、致し方なし。
ブースト カーボングリスの注意点
- グリスの粘性が凶悪すぎて手や用途外の場所につくと難儀する
- 臼タイプのシートポストやD型断面のものだと効果が薄い可能性がある
- 万全を期すならフィニッシュラインとモトレックスの併用がよさそう
とにかくベタベタがすごくて、目的以外の場所につくと処理が大変です。
よぶんに塗布したものがはみ出すと面倒。塗る時は使用量を最少限におさえたり、マスキングテープで他の部分につかないように工夫した方がいいでしょう。
懸念点は、エアロタイプのシートポスト(D断面形状)や臼タイプで固定するものだと効果が薄い可能性があること。
Aethosのシートポスト、ハンドルの固定部分は汎用規格の丸断面形状。もともと、エアロ形状のものと比較してズレにくい構造でした。(締めつけトルクが均一にかかるため)
ブースト カーボングリスを塗ってズレは全く生じなかったことから、この製品に満足していますが、丸断面以外のパーツに関しての評価ができません。
万全をきしたいなら、ツルツル表面のパーツにはモトレックスの製品。表面がザラザラのシボ加工のものにはフィニッシュラインという使い分けが効果的でしょう。

シボ加工のカーボンだったら取り外しで多少傷がついてもあまり気にならないしね。
まとめ
ツルツルとザラザラ表面の両方で使えるBOOSTのカーボングリス。なかなか良い商品だと思います。
ただ、物性があまりにもベタベタしていて凶悪な点。そして、エアロタイプや臼型固定タイプのシートポストでの効果がわからないという点。
この2つが個人的に引っかかるポイントでございます。
丸断面の汎用規格品におけるカーボンパーツのズレ防止効果はしっかり確認できました。とうぜん、傷もついておりません。
BOOSTカーボングリスをおすすめできる方は今のところ限定されますが、個人的には良品だと思いました。これからも使用は継続していく予定です。

丸断面形状のカーボンパーツであれば、ツルツルザラザラの両面で使えて、なおかつ傷がつきにくいのがメリットだわね。ベタベタするのはどうにもならんから諦めてくれw
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