電動コンポのユーザーには広く知られている、トップギア2枚の使用制限。
E-TUBEで制御プログラムをいじらない限り、10速と11速のギアでインナーを選択することはできません。
自転車コンポーネントの世界的メーカーでもあるシマノがデフォルトで設定した理由…。ロード乗りなら、なんとなく理解できます。
なぜなら、チェーンラインがななめになってしまう「インナートップ」の使用は、できるだけさけるべき組み合わせとして常識だからです。
「たすきがけ」と呼ばれるこの組み合わせ。チェーンやスプロケットの偏摩耗はもちろんのこと、抵抗も増えて効率が悪い。ついでにチェーン落ちやリアディレイラーへの負担にもつながります。
そこで出てくる疑問が1つ…
アウターローが制限されない理由はなんぞや?
( ゚Д ゚)??
チェーンが斜めになる「たすきがけ」を制限したいのなら、なぜアウターローの組み合わせも封印しないのでしょうか?プログラムで制御しているだけなんだから、簡単に設定できるだろうに…。
というわけで、シマノのお客さま相談室に電話で聞いてみました。
電動コンポのギア制限はチェーンテンションが大きな理由
前提:使わない方が良い事は前提です。
Di2だとインナーでトップ2枚には入らないようにデフォルト設定でなってるけど、アウターローってデフォルト設定でも入るよね。
このあたりの見解って割と興味深い。
(もちろん何もなければアウターローは使わない方が良いのは当然です。) https://t.co/nhza0Ax0fA— キクちゃん@PAXPROJECTの中の人 (@chankiku) 2019年3月18日
疑問を持ったきっかけは、おなじみPAX キクちゃんのツイートから。
旧型のアルテグラ 6770や6870の電動コンポでは、ギアの使用制限なんてありません。ところが、R8050になってインナーとトップ2枚のギアがデフォルトで使用できなくなりました。
コンポメーカーがたすきがけを制限したいというのはわかるのです。ではなぜ、アウターローでは制御が入らないのでしょうか?気になりますねぇ〜。
そして、さらにもう1つ。
シャドー化した電動コンポでのみ、ギアの使用が制限される理由は何なのでしょうか??
教えて〜シマノ先生!
インナートップの組み合わせが制限される理由
電動コンポのギア制御について教えておくんなまし。
はい、どうぞ。
シマノさんのお客様さま相談窓口(ナビダイヤル)「0570-031961」へ、レッツ電凸であります。
まずは、インナートップのギアが制限されている理由を聞いてみました。
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電動コンポでインナートップの組み合わせが制限されている理由はなぜですか?
チェーンテンションが緩くなるからです。
予想していた通りの見解。
やはり、小さいギアを組み合わせる「インナートップ」は、チェーンテンションがだるだるになるからNGとのことでした。
シャドー化したことでSS(ショートケージ)でも30TのでかいスプロケがつくようになったR8000シリーズ。チェーン落ちしたりフレームに接触する可能性を考えると、コンポメーカーが封印したのもなっとくであります。
同じたすきがけのアウターローが制限されないのはなぜ?
電動コンポでアウターローが制限されない理由はなぜですか?
チェーンテンションがシマノの規定内なので制限はしていません。ただ、アウターローはあまり使ってほしくない組み合わせではあります…。
でかいギア同士のアウターロー。インナートップの逆で、チェーンテンションはパツパツです!
この状態だとリアディレイラー(RD)に負担がかかってぶち壊れる確率が高くなりそうですが、この使い方はシマノの想定内。チェーンテンションが規定内だから使えるとの見解でした。
でも、
あまり使わない方がいい…
ということも言われました。
まぁ、当然ですわな。チェーンラインはまっすぐが基本。ななめになる「たすきがけ」のラインでいいことなんぞ1つもありませんから。
常用するのではなく、レースなんかで一瞬だけアウターローを使う場合は、OKということなのでしょう。
(; ゚∀゚).。oO(普通に走る分にはアウターローなんて使う機会はほぼないよねw その前にインナーに落とすことが習慣になっているもの)
旧型の電動コンポでインナートップが制限されなかった理由
旧型の電動コンポでインナートップが制限されなかった理由を教えてください。
RDのキャパが違うからです。R8050は旧型とスラント角が異なります。
なるほど!
うなずきたくなる回答でございますな。
ところで、シマノさんの回答で出てくる『スラント角』とはなんぞや?疑問に思う方もいるでしょう。
スラント角(slant angle)とは、リアメカのパンタグラフがストロークする角度のことを意味します。
ちなみに、ロードバイクのスラント角は30度。ワイドギアのMTBは45度が一般的です。当然ですが、ローギアの歯数が多いMTBの方がスラント角が深くなります。
ところが、30Tまで対応したR8000シリーズのスラント角が今までと同じ30度ということはありえません。なにせ、MTBなみにワイドなギアを許容してくれるんだから。
R8000シリーズのスラント角を海外サイトもふくめて調べてみましたが、「Optimized slant angle(最適化されたスラント角)」と表記されるだけで、何度なのかわからんのですw
おそらく、45度とはいわないまでも、それに近いスラント角になっているはず!たぶん(笑)
角度が深くなったことに対応するためのリアディレイラー制御。なっとくしました。
まとめ
- インナーとトップギア2枚の組み合わせは、チェーンテンションが緩みすぎるから制限する。
- アウターローはチェーンの張りがシマノの規定内だから使える。ただし、あまり使わないでほしい。
- R8050は旧型電動コンポよりもスラント角が深くなっているため、インナーとトップ2枚の組み合わせを制限した。
シマノさんから聞いたことをまとめると、このようになります。
機械式コンポだと、コンピュータでインナートップを制限することはできません。R8000やR9100のメカを愛用されている方は、なるべくインナートップは使わない方がいいでしょうね。
コメント
アウターローはともかく、インナートップを使う機会ってあります?
平坦は基本アウターですし・・・
E-TUBEで制御プログラムを変更すなら、シンクロシフト位かと
にしてもリアが12-25Tが漢ギアって10年位前はむしろワイドでした。
それ以上前になるとフロントもインナー42でリアは23Tが一番軽いギア
と言う時代もあり、それですとコンパクトクランクアウター50のリア30T
より重いギアと言うことに・・・
それで登りを走っていたと思うと、昔の人は凄いですよね。
ちなみに、5年近く乗っていない知人のバイクはノーマルクランクでリア12-25T。
全盛期の時は超人でした。
>VAN 様
アウターローもインナートップも使う機会はないですね。
ロード歴は10年になりますが、この組み合わせができなくて困った経験は一度もありません。
フロント42Tのリア23Tですか!(゚o゚;;
ギア比が1.83だから、セミコンパクトのインナー36T×19Tとほぼ同じwww
これでゴリゴリと峠をのぼっていた昔の人は、豪脚ですね。
ノーマルクランクに12-25T…。
セミコンパクトやコンパクトクランクで慣れた人なら、ヒルクライムがより苦行になること間違いありませんね(笑)