ロードバイクのポジショニングが分からない…
(;´Д`)タスケテ
これ…いわゆる、ポジション沼と呼ばれるロード乗り特有の病気。
ロードバイクで走る際、ポジションの最適化は最重要項目です。レースに出場する一流選手ともなると、1mmのポジショニング変更でも神経質になるほど。
おれら素人はそこまで敏感ではありませんが、間違ったポジションだと美しく(効率的)走ることができないのはプロと同じであります。
迷宮や沼に例えられるロードバイクのポジション論。世のロード乗りが混乱する理由は、どこにあるのでしょうか??
それは…
万人に当てはまる都合の良いメソッドが存在しないから
人間はとても個体差が大きい生き物。Aという人物で最適化された法則がBという人物に当てはまるかというと、そうではありません。
- 年齢
- 性別
- 身体のサイズ
- 筋肉量
- 柔軟性
- etc…
様々な要素が複雑にからむため、ポジションを最適化するには試行錯誤を繰り返すしかないのです。
というワケで今回のネタは、ロードバイクのポジションに関するエントリー。
シートは高く!ハンドルは低く!という見た目重視だった愛車のポジショニングを基本に立ち返り大幅修正してみました。ロードのセッティングでお悩みの方は参考にご覧ください。
(; ゚∀゚).。oO(ポジション沼は日本海溝なみに深いぜよ…)
ロードバイクのポジショニングが重要な理由
- フレームのサイズ
- サドルの高さ・前後・角度
- ハンドルの高さ・遠さ・傾き・幅
- ブラケットの位置
- クランク長
- クリートの位置
ロードバイクのポジションに関係する項目を思いつくまま書いただけで、これだけの数が出てきます(汗)
自転車の乗車ポジションで重要になるポイントは、身体と直に接する部分。すなわち、「サドル」「ハンドル」「ペダル」の3か所。
これら位置が重要な理由は、安全・快適・効率というバランスを高次元で成り立たせるためです。
1馬力に満たない人間のパワーで一般公道を走る自動車に匹敵するほどのスピードが出せるロードバイク。この乗り物を上手く操るためには、高いレベルでのバランスが要求されます。
( ゚∀゚).。oO(車の運転もハンドルやシートの位置調整はするでしょ?ロードバイクは「安全」「快適」にプラスしてパワーをロスなく伝える「効率」が重要になってくるから車の乗車姿勢以上にポジショニングが重要になるのじゃ!)
ポジション沼に落ちる原因
↑↑
あまたの自転車乗りが沈んでいるポジション沼www
人はなぜポジション沼に落ちてしまうのか?
そこには色々と複雑な事情があるのです。
( ゚∀゚).。oO(人によって事情は様々…)
身体の寸法
まず第一に、自分自身の寸法を理解していない点。
学生時代には身体測定がありましたが、社会人になるとそんなものはありません。
自分の身長や股下、リーチの長さなどを正確に分かっている方はどれだけいるのでしょうか?そんなにいないのではないでしょうか??
例え学生時代に測ったサイズを覚えていても、おっさん化した今のおれらと同じとは限りません。
セルフチェックで十分なので、「よく分かんね~ゼ!」という方はこの機会に測ってみるのも良いでしょう。
( ゚∀゚).。oO(股下計測は壁の前に立った状態で股に本を挟み壁側に固定。メジャーで床から本までの長さを測ると簡単に分かるよ)
ロードバイクに対する肉体の適応具合
ロードバイクに乗り始めて1ヶ月も経ってない方と、何年も乗っている方とでは身体の適応具合いが全く異なります。
初心者のころに取れなかったキツイ前傾姿勢も体幹の筋肉がついて柔軟性が増すことで取れるようになるのは周知の事実。
レベル的に「未経験者」「初心者」「中級者」「上級者」で適切なポジションは変わってきます。自己評価でも構いませんが、プロショップで客観的な意見を貰えるとポジション出しの参考になるでしょう。
見栄を張りたくなる
シートポストは高く
ハンドルは低く
ステムは長く
サドルとハンドルの落差ありありで、低い前傾姿勢がとれるロードバイクはカッコイイものです。
でもね…そのポジション、大多数の日本人には合っていませんよw?
(ノ∀`)アチャー
悲しいかな、モンゴロイド(黄色人種)は胴長短足。コーカソイド(白色人種)に比べると腕だって短い!
シートポストは高く・ハンドルは低く・ステムが長い攻撃的なスタイルは、アンディ・シュレクのような手足の長い欧米人向けのポジションです。
Rockmanのようにキャニオンから「短足乙w」とdisられる胴長野郎は、シート高がどうしても低い設定になってしまいます(笑)
あぁ~それなのに~それなのに~
サドルとハンドルの落差が大きいのは乗り手のレベルの表れ!という刷り込みもあって、ついつい見栄を張ってしまう…。
こうやってペダルの回転に関係のない部分を追求することで、適切なポジションからどんどん遠ざかって行くわけです。
(; ゚∀゚).。oO(ワタクシ…知らず知らずのうちに見栄張りポジションで乗っていましたwww)
ポジション出しにお金がかかる
最近の日本人は物にはお金を出すけれど、技術に対してお金を払いたがらない傾向があります。
これは不景気が長く続いた影響による悪習。自転車屋さんにとっても由々しき問題です。
顧客が手間賃を惜しむため、ロードバイク購入時にしっかり時間をかけてフィッティングさせるのが困難になっています。
シマノやブリヂストン アンカー、スペシャライズドの専門ショップでは独自のフィッティングサポートを行っていますが、費用は別途でかなりお高い!
ステムの長さを変更したりサドルをお尻に合ったものに変えれば、トータルで5万円以上のコストになることも珍しくありません。
専用マシーンを用いた第三者によるポジショニング調整は、懐(ふところ)に余裕がないとできないという厳しい現実があります。
(; ゚∀゚).。oO(金はあっても時間の都合がつかない場合もあるし、フィッティングをやっているショップが近くにない場合もあるからなぁ…)
ジオメトリによるフレーム選び
Fs | 470 | 500 | 540 | 560 |
---|---|---|---|---|
A | 515 | 525 | 545 | 560 |
A hor | 531 | 536 | 551 | 571 |
B | 406 | 406 | 406 | 408 |
C | 578 | 582 | 593 | 599 |
D | 974 | 980 | 991 | 999 |
BB Drop | 70 | 70 | 70 | 70 |
Fork Offset | 43 | 43 | 43 | 43 |
a° | 72 | 72 | 72.5 | 73 |
b° | 74 | 74 | 74 | 73 |
Trial | 63 | 63 | 60 | 57 |
HT | 110 | 125 | 140 | 155 |
Reach | 384 | 386 | 396 | 401 |
Stack | 511 | 524 | 540 | 556 |
適切なポジションを出すためには、適切なフレーム選びから!
というワケで、我が愛車(KOGA KIMERA 3K)のジオメトリを例に計算して行きたいと思います。
( ゚∀゚).。oO(データはジオライドジャパンのKOGAサイトから拝借!カーボンの材質は異なるけれど、RockmanのキメラはKIMERA PROと同じジオメトリなのさ)
フレーム選びの基準
フレームのサイズは、シートチューブ(図表記:Fs)、もしくは水平状態のトップチューブ(図表記:A hor)の長さで決められています。
でも、このデータだけで選んでしまうのは不十分。
Stack(スタック)とシート角(図表記:b°)から最大落差を求め、適切なフレームサイズを導き出してみましょう。
( ゚∀゚).。oO(あくまで理論値だけど最大落差が算出できるのは大きな意味があるぞい!)
サドルの高さと適正落差を導き出す
- サドル高=「股下長」×「レベル係数」
- 適正落差=「サドル高」×「0.097」
【レベル係数】
・未経験者:0.860
・初級者:0.870
・中級者:0.880
・上級者:0.885
2016年7月号のサイクルスポーツ紙には「股下のサイズでサドル高を導き出すのはナンセンス!」と書いてありましたが、とりあえず基準となる数値は欲しいですよね(笑)
というワケで、一般的に知られている計算式から出してみましょう。
上の計算は、クランク長 170mmの一般的サイズが前提。
レベル係数は栗村修さんの著書で「0.885」が基本と書かれています。
しかし!
ブリヂストン・アンカー方式の方が初心者に優しい数値が出せるので、こちらを使って計算してみます。
・
・
・
<サドル高>
790(Rockmanの股下長) × 0.880(中級者係数)=695[mm]
<適正落差>
695(サドル高)×0.097=67[mm]
※小数点は切り捨て
当ブログ管理人の適正サドル高は、695mm。適正落差は、67mmという結果になりました。
最適なフレームサイズを導き出す
最大落差=「サドル高」-「ヘッドチューブ長」-「490」+「シート角補正値」※1.
最大落差=「サドル高」×「sin(シート角)」-「Stack」-「70」※2.
フレームの最大落差は、「サドル高」「ヘッドチューブ長」「シート角補正値」で大まかな値が導き出せます。
Stack(スタック)が分かる場合は、サドル高とシート角のsinθ(三角関数)によって、より正確な値が求められます。
ちなみにStack(スタック)とは、BB(ボトムブラケット)の中心部分からヘッドチューブ上部までの高さを意味。
今回は、正確に最大落差が出せるStack(スタック)を用いて計算を行います。
※1. シート角補正値
73°を「0」基準に0.1°刻みで1ごとに補正。(74°のシート角補正値は「10」)
※2. 70の値
ハンドルのステムクランプ中心とヘッドチューブ上面の落差を意味する。ステムの種類やコラムスペーサーの数によって数値が変化するので注意が必要。
対象となるフレームがRockmanのデータで、どのていどの落差まで許容できるか値を導き出してみましょう。
・
・
・
【KIMERA 470サイズ】
<最大落差>
695(サドル高)×0.961(sin74°)-511(Stack)-70=86[mm]
適正落差が67mmなので、470サイズのフレームは適合します。
【KIMERA 500サイズ】
<最大落差>
695(サドル高)×0.961(sin74°)-524(Stack)-70=73[mm]
適正落差が67mmなので、500サイズのフレームも適合します。
【KIMERA 540サイズ】
<最大落差>
695(サドル高)×0.961(sin74°)-540(Stack)-70=57[mm]
適正落差が67mmなので、540サイズのフレームは不適格です。
【KIMERA 560サイズ】
<最大落差>
695(サドル高)×0.956(sin73°)-556(Stack)-70=38[mm]
適正落差が67mmなので、560サイズのフレームはもちろん不適格です。
どのサイズを選ぶか?
適正落差と最大落差を導き出したことによって、適合するフレームが複数あることが分かりました。
では、どのサイズを選べば良いのでしょう?
小さなフレームだと、ハンドル高を上げるためにコラムスペーサーが必要。逆に大きなフレームだと、ステムが極端に短くなって見た目がイマイチになります。
Rockmanの場合は500サイズが基本。470サイズを選ぶなら、コラムスペーサーとロングタイプのステムで対応するのがセオリーです。
(; ゚∀゚).。oO(ちなみに今乗っているフレームは470サイズ!落差が大きく取れるのは良いんだけど、欧米人のように腕が長くないからコラム増し増しの姿は微妙…)
まとめ
見栄張りポジションによって西洋人ばりに落差(ハンドルとシートの差)がついていたMy キメラさん。ヒルクライムでクソ乗りにくいポジションになっていたのは言うまでもありませんw
セッティングを見直した結果、ステム長が110mm サドル高さが695mm 落差が67mmというポジションに落ち着きました。(こちらに変更してからすでに2年ほど経過)
ヒルクライムはもちろん、ロングライドを行なっても体が辛いと感じることはありません。
今のところ、このポジションで満足していますが、加齢や体型(筋肉量)の変化によって修正する必要が出てくることも十分考えられます。
その際は、あらためてプロのフィッティングを受けてみようと思っています。(もちろんブログネタとして書きますよw)
( ゚∀゚).。oO(サイクルスポーツ紙のポジション論は、結局のところ「色々試そうゼ!」だったのは納得じゃw)
参考
【web】
・Y’s Road 新宿本館 【川原復活バイオ日記 その18】バイクのサイズ選び④
・GAGAZINE 適正サイズをはじき出せ! ロードバイクのサイズ選び講座!
・むねさだブログ 【ロードバイク体験】サドルやハンドルを自分にあった位置に調整する方法を教わったぞ!
【書籍】
コメント
ポジション沼に落ちましたか。私も短足です(同じくキャニオンにやられました)見栄を張ってついつい上げたくなるサドル、「カッコやない、効率良く回す為や!」って言い聞かせながら・・・MTBの場合、サスがあるので、更に沼に落ちやすいです、特にフルサスバイクは。体重によってエアサスのエアー量の調整、ストロークスピード(沈み、戻り)の調整等、また、乗った時に沈む、初期沈み量なんかがあり、サドルの高さも変わります。高価なサスになると調整箇所、調整量も増え、更に更に沼へ・・・私もMTBも適正ポジションではないと思いますが、あんまり気にして乗っても面白くないので、気長にやって行くしかないですね。ポジション出しの夜明けは遠い・・・
>takuzo 様
はい。ドップリとポジション沼にハマって抜けられませんw
現在は、ハンドルの位置調整に難儀してます。
90mm,100mmのステムを調達することになりそうです。
MTBの沼はさらに深そうですね・・・。
ノウハウのあるショップとお付き合いがない場合は、サスセッティングで寝れなくなりそうです(笑)
ポジション沼、それはサドルと同じで正解がないの深い沼。
自転車を購入したお店の店員も正解がないのがポジションと
言ってますし・・・
以前、スペシャのBG-FITを受けましたが、身体データ及び
柔軟性等を基に最適解を出す方法ですが満足感はありましたよ。
今のポジションもそのデータを基にしています。
何かを基準にそこから少し変更していくのが正解かと
ちなみに友人は以前ほど乗らなくなったので落差を小さくしたことも
ありますし
>VAN 様
自転車乗りは、ポジションの最適解を求めてさまよう宿命のようです(笑)
スペシャのBG-FITは気になるのですが、近場でやっているところがないんですよね・・・。
今後、何らかの機会をつくってプロのポジション診断を受けてみたいと思います。
とりあえず、今使っている110mmのステムが長いような気がするので、100mmと90mmのステムを購入して試す予定です!
ポジションですか・・・
自分にとってハンドル高はシビアな問題で、コラムを締め付ける場所の問題からも良くないことはわかってるんですが、ステムのトップキャップからコラムが「煙突」のように出ているのが見た目的にどうにも許せないので、フレーム買って組む時にギリギリにカットしちゃうんですよね。
なので、組んだらもう高くする方には調整できない、というダメな「勝負!」をフレーム買うたびにしてます(笑
ハンドルのリーチ、ステム長と調整できる方は「サドル先端〜ブラケット間長」を測る
http://kiama.blog32.fc2.com/blog-entry-547.html
これが一番自分にはシックリきました。
まあ、基準となるサドル高が高ケイデンス時に尻が跳ねないギリギリの高さにして、長距離走っても違和感なきゃそれでいいや、みたいなテキトーな決め方なので何をか言わんや、なんですが(笑
サドルのセットバックとか、ペダルやシューズのスタックハイトとか、考え出すとほんとキリがないですよね・・・
>ND5RC 様
確かにコラムがニョッキリ出ているとルックスが微妙ですもんねw
私もギリギリまでカットしたい衝動に駆られるのですが、10mmは残しておいた方が良いという凄腕メカニックメンのアドバイスに従っています。
ポジションはその時のコンディションでも変わってきますからね…。
ほんと、この迷宮は出口が見えません。^^;